本調査では、これらの指摘による断層が地表付近に到達する位置を明らかにし、トレンチ調査などで指摘される断層がこの断層帯の活動履歴を代表するものとして扱うことが可能であるかを判定し、同時に断層の上盤側と下盤側に共通して分布する地層の高度差から、ある時間単位(具体的には第四紀)の累積変位量を求めることを目的とし、浅層反射法弾性波探査(P波探査)を実施した。
測定を行った地域は、図6−1に示した酒田市横代地区から生石地区を通過し失流川沿いに東に向かう測線とした。測線の東端は通越から大平の南に至る地点で総延長は約4.5kmで生石付近において観音寺断層を横断する測線配置とした。また、探査深度はこの地域の鮮新世から更新世にかけての堆積物が1kmを超える層厚をもつため1km〜2kmの深度について解析可能となるものとした。
調査測線近傍には既存坑井「生石SK−1」,「西失流川SK−1」および「平田SK−1」が位置しており、反射断面の解析においてこの坑井データを参考にすることとした。また、測線西端の北側lkm地点では澤、他(1997)によって約2万年前の地図に到達するボーリング調査が行われている。このボーリング資料と探査結果の直後の対応は困難であるが更新世後期から完新世の地層分布と庄内層群の地層変形を比較検討するために測線西端を図6−1とした。