(5)上山−蔵王西麓地域

上山付近および蔵王西麓地域では、断層露頭や地層の変形などは直接確認はなされなかった。これは、蔵王西麓地域や上山市街地北側の基準地形を構成する堆積物が不淘汰・無層理の泥流堆積物であるため、地層の変形等は確認されにくいためと考えられる。

上山市街地北側に分布する酢川泥流は上山市街地と大石陰から久保手付近の堆積物の分布高度に約30mの高度差が認められる。この泥流堆積物の流下年代は阿子島,他(1985)によれば約50,000年前と見積もられること、上山市南部では泥流堆積物の上に低位段丘T面が形成されていることから、この断層の平均変位速度は0.1〜1.0m/1,000年の範囲になり、活動度B級に区分される。

蔵王西麓に見られるリニアメントでは、泥流堆積物の前面に40〜50mの崖地形が見られる。この泥流堆積物が酢川泥流と同時期に流下ものであるとするならば、その平均変位速度は上山市街地に見られるものよりやや大きいものとなる。