この断層にそって地層は東側で急傾斜を示し、西側ではほぼ水平もしくは緩やかな東傾斜を示している(図5−3−14)。この断層を横断する段丘面には明瞭な低崖や撓曲崖が認められるが、新庄市清水付近のJIK121(写真)では段丘堆積物と考えられる砂礫層が大きく傾斜していることが観察され、JIK89付近では沢沿いに比高5m前後の高さに連続していた低位段丘T面の堆積物基底が、撓曲崖に沿って高度を低下させ沖積地に没することが確認された(図5−3−15)。
この断層の南側連続は最上川の左岸に見られる低位段丘T面の撓曲崖によって確認される。さらに南部ではJIw33地点において断層露頭が確認された(図5−3−19,写真5−3−7)。この断層露頭では更新世後期の活動は明らかにできないが、この地点を境に鮮新世の地層に大きな構造的変化が現れることから、これを長者原断層の連続とした。
この地域では最上川左岸のJIw24地点において低位段丘V面の堆積物から採取された試料によって年代測定を行った。この結果17,530±90y.B.P.の値を得た。この年代は予想される段丘面の形成年代に対してやや古いものであり、段丘面の対比に誤りがあるか、断層上流側が断層活動による隆起によって早い段階で離水した可能性も考えられる。