升形川沿いでは低位段丘T〜Vの発達・保存がよいが、中位段丘の分布は断片的で、高位段丘も局部的に分布するのみである。最上川は本合海で大きな曲流をみせる。この付近では、最上川右岸に現在の流路方向とは逆傾斜する低位段丘T〜V面が観察される。本合海から上流では中位段丘V面,低位段丘T〜V面が分布している。
この地域で観察されるリニアメントは、鮭川村庭月に分布する段丘面上に見られる崖地形の連続と、上大渕付近の低位段丘V面上に見られる撓曲(傾斜変換部)によって認識される(JL−2)。このリニアメントは段丘面が古くなるほど崖高が大きくなり更新世後期における断層活動の累積がよみ取れる。従ってこの区間についてはAランクとした。鮭川村庭月では、このリニアメントの西側に1.5kmの連続をもつリニアメント(JL−1)が観察される。このリニアメントは中位段丘V面を切る可能性は極めて高いが、連続性にやや乏しいためBランクとした。
鮭川村川口から新庄市升形、長坂、本合海にかけての地域にはJL−1の延長と考えられる傾斜変換部もしくは撓曲崖が観察される。本合海東側の撓曲崖は極めて明瞭なものであり、段丘面の相違による累積変位も確認される。しかし、升形付近で見られる傾斜変換部は、変位帯の範囲が不明瞭で明瞭な崖地形は観察できない。このため、この区間はBランクとし、本合海付近をAランクとした。