(1)活断層研究会編(1991):「日本の活断層」−その分布と資料−,130−143.
盆地内に図示されたリニアメントは18箇所であり、このうち確実度Tとされるリニアメントは、楯岡断層(図中13),新山寺−境ノ目(図中14),田沢−里(図中15),富並
(図中16),樽石北断層(図中17),高森山断層(図中19),湯野沢断層(図中20),半郷断層(図中27),上山断層(図中28),大高根断層(図中36),白鳥断層(図中37),大久保東断層(図中38)の12箇所である。
図3−3−1 日本の活断層に示されたリニアメント
(2)鈴木康弘(1988):新庄盆地・山形盆地の活構造と盆地発達過程.地理学評論,61A,332−349.
この論文では、新庄盆地と山形盆地の地質構造の特性からここで発生する断層の様式が異なることを論じているが、この中で山形盆地北部から新庄盆地にかけての段丘面の対比と断層位置を図示している(図3−3−2)。
図3−3−2 鈴木(1988)に示された段丘面と断層位置
(3)小松原 琢(1997):山形盆地の地質構造と環境地学.地質ニュース,No.512,20−26.
この論文のなかでは、山形盆地の構造運動が西に偏った沈降運動を示していること、この地域の活断層がこの沈降運動に整合的に盆地西縁に連続するとしている。また、これらの断層の活動度は従来B級(平均変位速度が0.1〜1m/1,000年)とされているのに対して、盆地の沈降を含めて考えることで、活動度A級の可能性もあることを示唆している。
図3−4−2 小松原(1997)に示された山形盆地西縁部の活断層の概要
(4)鈴木康弘・阿子島 功(1987):山形盆地北西縁,大高根における完新世断層露頭.活断層研究,4,2−127
この論文では、村山市大高根において観察された完新世の段丘堆積物を切る断層露頭が記載されている。これによれば、大高根断層とされるこの断層の活動は1万年前以降(完新世)に少なくとも1回以上起っており、周辺の地形特性や条線の方向などからこの断層が横ずれ成分を持つ可能性を指摘している。
図3−4−3 鈴木康弘、阿子島功(1987)に示された最上川左岸の活断層と変位地形
図3−4−4 鈴木康弘、阿子島功(1987)に示された活断層露頭のスケッチ
(5)山野井 徹・阿子島 功・鈴木雅宏(1986):山形・尾花沢の第四系.地質学会93年学術大会見学旅行案内書,57−84.
(6)山野井 徹(1985):山形盆地の形成とその自然環境の変遷.昭和58・59・60年度山形大学特定研究費成果報告書「東北地方における盆地の自然環境論的研究」,47−86.
上記2編の論文では、村山市を流れる樽石川に見られる断層や地質構造から湯野沢断層の存在を指摘すると同時に地質構造あるいは断層の活動開始時期について示している。また、寒河江市洲崎の地質・地形状況から寒河江市高瀬山の前縁に沖積低地を段丘化させる断層活動があった可能性について指摘している。
図3−4−5 山野井(1985)に示された湯野沢断層の位置と地質概念図
図3−4−6 山野井徹、阿子島功、鈴木雅宏(1986)に示された寒河江市洲崎の断層位置
以下に山形盆地および関連地域の地質・構造などについて記載された論文リストを示す。
(7)阿子島 功(1984):山形盆地の埋積過程と地盤型.山形応用地質,41−8.
(8)阿子島 功、山野井 撤(1985):蔵王火山西麓の酢川泥流の発生年代.東北地理,37巻,159−165.
(9)天野一男(1980):奥羽背梁山脈宮城・山形県境地域の地質学的研究.東北大学古生物研邦報,No.81.8.
(10)北村 信,編(1986):新生代東北日本弧地質資料集.第3巻−その2−,島弧横断ルートNo.23,24.
(11)佐藤比呂志(1986):東北地方中部地域(酒田−古川間)の新生代地質構造発達史.東北大地質古生物研究邦報,88,1−32および89,1−45.
(12)地質調査所(1984):「活構造図、新潟」1/50万図幅.
(13)地質調査所(1981):「秋田・山形地域活構造図」1/20万図幅.
(14)地質調査所(1984):「活構造図、新潟」1/50万図幅.
(15)徳永重元(1958):5万分の1地質図幅「尾花沢」および同説明書.地質調査所,32p.
(16)藤原健蔵(1967):山形盆地の地形発達.地理学評論,40,523−542.
(17)Yushi Funayama(1961):The geology and geological structure in the marginal areas of the Yamagata Basin, with special reference to the ore deposits, Yamagata Prefecture, Japan. Sci. Rep. Tohoku Univ., 3rd ser., 7, 199−291.