上部の砂質シルト〜粘土の上部は掘削により削り取れている．ここでは厚さ１ｍが観察された．色調は青灰〜緑灰色で，均質である．南の下部には木片や腐植を多く含む．Ｗ９〜Ｗ５にかけて，下部に厚さ１０ｃｍ程度の砂を挟む．ほぼ水平に分布するが，厚さの膨縮が顕著で，また形状も丸くなるもの，半円状を示すものなどある．この一部は下位の砂に繋がり，さらに上位に延びる幅数ｃｍの規模の小さな噴砂をなす．恐らく，砂質シルト〜粘土の堆積中と堆積後の２回の地震動により噴砂が起こったと想定される．規模が小さいことから，近接する中央構造線断層帯が起震断層でないと判断される．南海トラフ沿いで起こる南海道地震の可能性が高いが，詳細は不明である．

下部の１．５ｍ程度以上の厚さを示す地層は，下部の砂礫と中部の礫混じり中砂，上部の礫混じり粗砂に区分される．南端では，ほぼ水平なラミナを切って，南にやや急斜するラミナが認められ，その急斜に沿って，上位の砂質シルト〜粘土が堆積している．

全体として両層の傾斜はとも南に緩く傾く．しかし，上部の砂質シルト〜粘土の基底面は南端では２０゜〜３０°急斜し，さらにその南で傾斜は再び，緩くなる．