本調査においては,変異の基準となる地層区分を行う目的で,アカホヤ火山灰の降灰層準を特定するために,ボ−リングコアを用いて火山灰分析を行った.
b.試料
分析は3回に区分して実施した.最初におおよその降灰層準把握する目的でNo.1孔のU層とV層の地層境界周辺で深度3mについて,10cm毎に試料を採取して分析した.
分析結果から,ほぼV層最上部に降灰層準が認められ,断層周辺を中心に,No.2,3,8,13,14孔から計50試料を,さらにNo.4,5,15から50試料を追加し,延べ130試料について分析した(図3−3−6参照).
c.分析方法
分析方法を図3−3−10火山灰分析処理フローに示す.また,巻末資料に「火山ガラスの含有量ヒストグラム」と「火山ガラスの屈折率データシート」を示す.
d.分析結果
以下に各ボーリング孔におけるK−Ah火山灰の降灰層準についての分析結果をとりまとめて示す(図3−3−11参照).
ボ−リングNo. 分析結果
No.1 ガラスの含有量は,震度9.3−9.4mの試料にピ−クがみられる.屈折率から,この層準がK−Ah降灰層準と考える.
No.2 ガラスの含有量は,震度7.9−8.0mの試料にピ−クがみられる.屈折率から,この層準がK−Ah降灰層準と考える.
No.3 ガラスの含有量は,震度8.3−8.4mの試料にピ−クがみられる.屈折率から,この層準がK−Ah降灰層準と考える.
No.4 ガラスの含有量は,非常に少なく,明瞭なピ−クを示さない.ガラスは8.4m以深に含まれるが,このガラスは屈折率からAT起源と考えられる.K−Ah降灰層準は8.0mより上位に存在するか,あるいは消剥されていると考えられる.
No.5 ガラスの含有量は,非常に少なく,明瞭なピ−クを示さない.ガラスは10.0m以深に含まれるが,このガラスは屈折率からAT起源と考えられる.K−Ah降灰層準は9.7mより上位に存在するか,あるいは消剥されていると考えられる.
No.8 ガラスの含有量は,震度7.1−7.2mの試料にピ−クがみられる.屈折率から,この層準がK−Ah降灰層準と考える.
No.13 ガラスの含有量は,震度8.3−8.4mの試料にピ−クがみられる.屈折率から,この層準がK−Ah降灰層準と考える.
No.14 ガラスの含有量は,震度8.5−8.6mおよび9.0−9.1mの試料にピ−クがみられる.屈折率から,この層準のうち8.5−8.6mがK−Ah降灰層準と考える.
No.15 ガラスの含有量は,非常に少なく,明瞭なピ−クを示さない.ガラスは9.4m以深に含まれるが,このガラスは屈折率からAT起源と考えられる.K−Ah降灰層準は8.9mより上位に存在するか,あるいは消剥されていると考えられる.
(d) 粒度分析結果
a.目的
ボーリング調査結果により確認され,下位から上位に連続的に地層が変化する箇所において,明瞭な地層区分を行うために粒度分析を行った.
b.試料
分析は代表的なボーリングコアについて実施した.試料は,断層付近に位置するボーリングNo.2,13,14孔から粘土質層であるV層と,砂質層となる下位のW層との境界付近から採取した.採取深度は後述する.
c.分析方法
土の粒度試験(JIS A 1204)法による
d.分析結果
個々の粒度分析表は巻末資料に示し,肉眼によるコア区分と室内試験結果との対比を以下にとりまとめて示す.
対比の結果によると,ほぼ粘土分が95%以上含まれている地層については粘土層として区分されていることが確認された.
ボーリングNo. 肉眼による区分 粒度試験結果
No.2 深度17.20mまで: 粘土分95%以上
粘土層
深度17.20m以深: 粘土分84%以下
砂混じりシルト層
No.13 深度18.00mまで: 17.70mまで粘土分95%程度
シルト層
深度18.00m以深: 17.70m以深粘土分87〜76%
砂混じりシルト層
No.14 深度18.15mまで: 18.10mまで粘土分95%程度
砂質シルト
深度18.15m以深: 18.10m以深粘土分77%以下
シルト質砂