(1)炭素年代測定

a.目的

地層の堆積年代を推定する目的で,ボーリングコアより採取した腐植物や木片等の試料について炭素(14C)年代測定を実施した.

b.試料

断層周辺に位置するボーリングNo.1,2,3,4,5孔から採取した合計31点である.

c.測定方法

加速器質量分析法

d.測定結果

測定結果を図3−3−7及び表3−3−2表3−3−3炭素年代測定結果一覧表にとりまとめて示す.また個々の測定表を巻末の年代測定結果資料に示す.

測定結果によると,調査地点の深度約35m(標高30m付近)より上位の地層中から得られた試料は10,000yBP以降の年代を示す.但し,No.2孔の深度36.40mから採取された炭化物は47,000yBP以上の値を示している.

試料の測定結果と出現深度を検討すると,一部で年代値と堆積深度との関係に逆転が認められる.これについては試料の再堆積が原因であると考えられることから,地層の堆積年代についてはこの点を考慮して推定した.

e.まとめ

各地層から得られた年代は次の通りである.

T層;分析を行っていないが,U層の最新の年代約950y.B.P.以降である.

U層;5試料分析し,約1,500〜950y.B.P.を示す.

V層;14試料分析し,約7,800y.B.P.以降で,6,150y.B.P.以前である.後述する火山灰分析結果から,V層最上部に挟在していた約6,500y.B.P.を示すアカホヤ火山灰(Ah)の降灰層準は侵食され,消失していることと多くのボ−リングのU層最下部にアカホヤ火山灰(K−Ah)に由来する火山ガラスが確認されることから,V層最上部は6,500y.B.P.より僅かに古い年代であろうと推定される.

W層;7試料分析し,8,000〜7,800y.B.P.の狭い範囲に集中する.

X層;2試料分析し,約8,000y.B.P.の値を得ている.

Y層;1試料分析し,約8,600y.B.P.の値を得ている.

]層;1試料分析し,47,000y.B.P.以上の値を得ている.