(2)地層の分布と断層

ボ−リングNo.1とNo.17では,破砕された岩盤(和泉層群,三波川変成岩類)の下位に崩壊性堆積物や後期更新世と思われる堆積物との境界をなす中央構造線断層帯がある.図3−3−5に示すように,2孔のボ−リング孔での境界を繋ぐ見掛け上約40°で北に傾く断層面は,北側の主として和泉層群と南側の後期更新世の堆積物を分ける.この上位に後期更新統の礫(Z層)や完新統(T〜Y層)が分布している.地層の連続性から断層面は上部で50°程度の高角に変化すると推定される.

断層に近接する下盤側のV〜Z層は凹状の分布を示し,下位の地層ほどその凹みは大きく,横幅も大きいことから,累積して変形していると判断される.このような凹地(以下,変形帯とする)を形成する断層が既に述べた北側のものだけなのかあるいは,その南に複数あるのかかは不明である.V層基底面の変形は明瞭である.不明瞭であるがV層上面(侵食面)まで及んでいると判断される.さらに上位のU層中では,断層による変形の有無は判断できない.

断層を挟んで地層を繋ぎ,凹地の深さを測り,変形の数量化を試みた.

 V層上面(侵食面) 深さ約1m

 V層基底面     深さ約1m

 W層基底面     深さ約3m

 Y層基底面     深さ約5m

 Z層基底面     深さ約3.5m以上であった.

地層の層厚を検討すると,V層は断層を挟んで,顕著な層厚に変化は認められない.その下位のW層では,上盤の1.5m程度の層厚が,下盤では層厚は倍以上の4m程度と大きくなる.さらに下位のX〜Z層の層厚は,下盤側でいくぶん厚くなるようであるが,明瞭ではない.