(1)地質区分

地層の特徴から上位から下位にT〜]の10層に区分した.その層序は図3−3−4に示す.後述する年代測定結果からT〜Y層は完新世(1万年以降の)の地層で,Z層は年代を示す試料を得ていないが,水野他(1998)の河西公園での調査結果などから後期更新世の砂層・礫層(Z層)に対比される.\層と]層の年代を示す試料を得ていない.含まれる花粉化石は更新世中期を示すものも含まれる.

T層;礫混じり粘土である.現地形との関係で,紀ノ川の旧河道跡に堆積した細粒堆積物と思われる.

U層;砂および細礫混じり砂で,南側の最下部では砂礫に漸移する.

V層;均質なシルト〜粘土で,貝殻片,腐植を含む.下位に向かって,砂質となり,下位のW層に漸移する.

W層;礫混じり中砂である.貝殻片や腐植を含む.一部ではシルトに変る.

X層;粘土やシルトを主体とし,一部で砂を交え互層を呈する.礫は含まない.

Y層;細礫混じり中〜粗砂.

Z層;中礫を主とする淘汰の悪い礫.

\層;断層面下位に沿ってのみ分布し,主として破砕された和泉層群と堆積物の互層である.断層活動に起因する崩壊性堆積物と判断した.堆積物の一部では腐植を挟む.

]層;断層の下盤にのみ分布するもので,上部は海成の粘土〜シルトからなり,下部は礫混じりシルトで非海成と思われる.

[層;断層の上盤に分布する和泉層群と破砕された和泉層群である.ボ−リングNo.1,17の断層面直上では,破砕された三波川変成岩類と思われる緑色の破砕帯を挟む.破砕された和泉層群中には約30°の小断層面が認められる.