(2)CMP重合法

実際の観測記録では,上述の1震源点・1受震点の観測方法ではノイズが多く,一般的には良好な反射断面を得ることが出来ない.そこで,最近の反射法地震探査では次に述べるCMP重合法が用いられている.

震源点と受震点の中点が共通で,震央距離(震源点から受震点までの距離)が様々である反射記録の集まりを考える(CMPアンサンブル;図3−2−7).この共通の中点をCMP(Common Middle Point;共通反射点)と呼ぶ.図3−2−3に示したような震央距離が零の記録を,normal timeの記録と呼ぶが,各地層の弾性波速度が分かれば,震央距離が零でない記録を補正して normal timeの記録に戻すことが出来る.この補正を NMO補正(Normal Move Out correction)と呼ぶ.

CMP重合法における解析手順は概略次のようになる(図3−2−8).

イ. 観測記録の中から,CMPを共有する記録を集める(CMP編集).

ロ. CMPを共有する記録を用いて,各地層の弾性波速度を推定する(速度解析).

ハ. 速度解析結果を用いて,各記録をNMO補正し normal time の記録に直す.

ニ. CMPを共有する記録を,全て足し合わせて1本の記録にする(重合).

このとき加え合わせる記録の数がm本であればm重合と呼ばれる.この処理を行うことにより反射波は強調され,他のノイズは減衰する.とくにノイズがランダムであれば,√m倍のS/N比の向上が期待できる.