地質調査所(1995)は和歌山平野で反射法地震探査を行い,中央構造線断層帯に相当する断層が約60度で北に傾くと報告している.
佃(1997),水野他(1998)は紀ノ川河口東側の河西公園で反射法地震探査と群列ボ−リング調査を行い,およそ1万年前の地層の上下方向の変位量は南落ち1.5m程度で,断層の最新活動時期はおよそ3,000〜5,200y.B.P.と推定した.さらに詳細は明確にできなかったがと断りながら,8,500〜10,000y.B.P.にも断層活動があった可能性を指摘している.
岡田他(1998)は,和歌山平野北部の大谷地区でS波反射法探査とボ−リング調査から平野に伏在する中央構造線断層帯を捉えた.ここでは平野深部では,中央構造線断層帯は更新世中期の菖蒲谷層と和泉層群との境界をなし,浅部では後期更新世の礫層に変位を,さらに上部の完新世の沖積層基底面等に1m変位程度のや変形を与えていると報告している.
この調査結果は,水野他(1998)の河西公園での調査結果とほぼ一致することから,両者は連続するもの判断され「和歌山北断層」と命名している.