(4)堆積年代について

炭質堆積物の14C年代測定と考古学的遺物から堆積年代が推定できる.下部の礫混じり砂〜砂礫層から7点の遺物を見つけた(図1−3−8).

和歌山県文化財センタ−埋蔵文化財課 土井孝之主査の鑑定で,以下の年代を得た.

1.「瓶の底」,焼き物.時代は5世紀〜6世紀前期 (D−1,図9参照).

2.古墳時代(4世紀)の高杯の底,同(2.5世紀)(D−5〜6).

3.弥生時代の須恵器 瓶の破片,壷の破片(D−2〜4).

遺物は異なる時代のものがほぼ同じ層準に混在して産出すること,土器が水磨していることから,近接した場所から旧紀ノ川によって流され,ここに堆積したものと思われる.

下部の礫混じり砂〜砂礫層から採取した木片の14C年代測定速報では,C−14(木片)試料は 4,509±62y.B.P.(NZA9903), C−12' (木片)試料は1,089±59y.B.P.(NZA9889),C−15 (木片)試料は1108±56y.B.P.(NZA9890)の結果を得た(図1−3−8参照).C−14試料を除くと,産出する遺物から推定された年代より14C年代は新しい.以上のことから,ここでは断層は9〜10世紀の地層に覆われていると判断した.

なお,調査地北側の沖積段丘上で道路建設に先立って遺跡調査が行われた.約3,000年前の最下底面に,液状化等の強震記録はなかったとのことである(土井氏談).