(3)花粉分析結果

花粉は腐植に強く,地層中に長く保存される.このような性質から地層中に含まる花粉化石を拾いだし,顕微鏡で花粉構成を解析することにより,地層堆積時の植生構成(種ではなく,属単位の)を復元し,既知の古植生との対比で,地層の堆積年代を推定することが可能である.

ボ−リングNo.1,2,3の\層,]層の年代を推定するため,挟在する腐植7試料を分析した.花粉数が少ない5試料は除き,100個以上の花粉化石が検出できた2試料の分析結果は,次のとおりである(図1−3−4に試料の位置を記入).

No.1,深度57.45mの\層中の試料はトウヒ属が優先し,ツガ,モミ,マツ属などの針葉樹と落葉広葉樹のブナ属で特徴づけられる.寒冷要素が多く,更新世中期頃の可能性もあるが,デ−タが少なく,堆積した時代の判断はできない.

No.3,深度44.55mの]層(下部)の試料は落葉広葉樹のハンノキ属が優占し,コナラ亜属を伴う.同層上部の海成層は大阪湾周辺との対比から更新世後期のMa12相当と思われる.分析試料から最終間氷期の特徴であるサルスベリ属の産出がないことのみを考慮すると,Ma12以前の更新世中期頃に堆積した可能性もあるが,上記と同様,デ−タが少なく,年代を特定できない.