(3)法林寺断層

1)課題

@空中写真判読や文献調査より変位地形や断層が確認されているが、今年度は踏査を実施していないため、詳細は不明である。変位地形が認められた箇所について踏査を実施し、断層の有無、地形の成因などを把握する必要がある。

A断層は段丘面を変形させているが、露頭ではあまり確認されていない。トレンチ候補地を選定するにあたり、地質踏査結果をふまえて物理探査(反射法弾性波探査・電気探査・地下レーダー等)やテストピット掘削を実施し、断層位置を確認することが望ましい。

B法林寺断層周辺の地形面は年代測定や火山灰分析などがあまり行われていない。法林寺断層の活動度を把握するためには、火山灰分析、放射性炭素年代測定、熱ルミネッセンス法年代測定などによって地形面の形成年代を把握する必要がある。

C耕地整理のため、現在は地形が改変されている可能性がある。また、周辺は埋蔵文化財の包蔵地が多数分布しており、トレンチ位置を決める際の制限事項となりうる。

2)今後の調査手法

今年度の調査結果では、空中写真判読で福野町安居〜福光町法林寺にかけての段丘面上に多くの変位地形が認められている。したがって主断層は段丘ないし平野下に伏在しているものと考えられる。ただしこれらの成果はあくまでも写真判読の成果であり、現地踏査による追認が必要であるし、トレンチ位置を確定するためには反射法弾性波探査や電気探査、重力探査などの物理探査を行うことが望ましい。また、福野町安居地内では道路工事現場で断層露頭が確認されており、この断層に対してテストピットを掘削し、性状を確認することが必要である。また、この断層より平野側に多くの変位地形が見られるため、前縁断層と思われる付近まで、より多くの断層について性状を把握することが望ましい。

ただし、石動断層と同様に平野/丘陵境界付近には埋蔵文化財包蔵地が多数あり、これらを避けて調査を行う必要がある。