(3)法林寺断層

小矢部川団研グループ(1974)や竹村(1983)は、福光町法林寺などで埴生累層中ないし段丘堆積物を切る小断層の存在や変形構造を指摘しているが、主断層の位置及び構造は把握されていない。また、寒川(1992,1997)は安居大堤窯跡群の逆断層について1586年の天正地震によるものとしているが、東側隆起であり、現在考えられている西側隆起の逆断層という構造と一致しない。

空中写真判読において、中位〜低位段丘面と考えられている地形面に、撓曲様地形・低断層崖様地形・溝状凹地様地形などの多くの変位地形らしき地形が認められた。

福野町教育委員会 林 浩明氏によれば、1989年末に前述の安居大堤窯跡群発掘の際に、同じ安居地内で段丘面を削る道路造成工事が行われており、切取法面に断層露頭が露出していたとの事である(写真3−4−1:現在はコンクリート構造物に覆われており観察できない)。この露頭は前述の空中写真判読結果の溝状凹地様地形の中に位置する。したがって、これらの地形は法林寺断層の活動の影響による変位地形である可能性が高い。

これらの地形面は、年代測定などはされていないものの、地形学的に中位〜低位段丘面と考えられており、これらの地形面に変位が認められることから、法林寺断層は比較的活動的な活断層であると考えられる。