5−3 調査の進め方

・地形測量:地形解析等によって断層変位地形が明瞭な地点あるいはその延長部について、断層による変位量あるいは変位の有無を把握することを目的として、1箇所200m程度の測線を設定して地形測量を行う。地形測量は、通常の横断測量のように単に測線上の標高を測定して地形断面を作成するだけではなく、測線周辺について要所の標高を測定して、できる限り原地形の断面を把握できるものとする。

・極浅層反射法弾性波探査:トレンチが予定されている地点(法林寺断層法林寺地区、高清水断層連代寺地区)で、トレンチ周辺の地質構造を把握してトレンチ位置を確定することを目的として極浅層反射法弾性波探査を行う。探査はポータブルバイブレーターを震源とするS波を用いて、浅部の分解能を高くする。この探査手法では、深度50m程度までの地下構造を把握することができる。探査の仕様は表5−3−1のとおり。

・トレンチ、ピット:トレンチ及びピットは、地表付近の地層の断層変位を直接観察して、断層の活動履歴を把握することを目的として行う。トレンチ及びピットの掘削位置、掘削深度は、極浅層反射法探査及び先行ボーリングの結果により、検討して最終的に決定する。また、掘削状況により適宜形状を変更する。トレンチ掘削概要図を図5−3−1に、ピットの掘削概要図を図5−3−2に示す。

用地の形状、土地利用;地主の掘削許可条件などによっては、トレンチ及びピットを、道路法面の表土剥ぎ(図5−3−3)、ジオスライサーによる連続試料採取、群列ボーリング等に変更することもありうる。

・年代測定用試料の採取・測定:断層活動の履歴について時間軸のスケールとして、地層の堆積年代を把握することを目的として、放射性炭素年代測定、火山灰分析、花粉分析試料採取、及び測定を行う。各分析の試料数は地質状況により決定する。

表5−3−1 極浅層反射法探査仕様