○法林寺断層
密度モデル1は一番平野側に認められる低断層崖へ密度境界を設定したケース、密度モデル2は断層露頭が認められた箇所に密度境界を設定したケースである。密度モデル1の場合は低角度の断層、密度モデル2の場合は高角度の断層を想定すると、両モデルとも観測重力値と比較的良く一致する(両モデルとも基盤の落差を、断層を挟んで340m〜350mを想定)。いずれのケースも密度差が0.3[g/cm3]であるが、この密度差が大きくなれば基盤の落差が小さくなり、密度差が小さくなれば落差が大きくなる。
この測線は反射法探査測線と同じ測線で実施している。反射法探査から推定される構造を解釈モデルとして設定し、断層付近、及び背斜構造を想定した層理面に沿って密度境界を設定した。このモデルを説明できる密度値を当てはめてモデル計算を実施した。
重力探査結果を素直に見れば、距離程1300m辺りに地質境界があると考えるべきであるが、反射法探査結果に見られる明瞭な断層面の位置を尊重すると、密度モデル2のような密度構造でも重力探査結果を満足する。密度モデル1と2は、境界面の形状は全く同じであるが、密度値が異なる。
密度モデル1は砂礫層と黒瀬谷層+医王山累層との密度差が大きすぎる。
密度モデル2で黒瀬谷層+医王山火山岩の密度(2.15[g/cm3])が小さすぎると考える場合、
例えば砂礫層の密度 2.00[g/cm3]→2.10[g/cm3]
土山凝灰岩他 1.95[g/cm3]→2.05[g/cm3]
黒瀬谷層+医王山累層 2.15[g/cm3]→2.25[g/cm3]
と全体に0.1[g/cm3]を加えても同じ結果となる。
○高清水断層
・井波町・連代寺測線(図3−3−8−1、図3−3−8−2、図3−3−8−3)
この測線も反射法探査測線と同じ測線で実施している。「[新編]日本の活断層」においては高清水断層が2条引かれており、2本の断層の間には医王山累層が分布している。密度モデル1、2は山側の断層だけが密度境界となっていると考えたケース、密度モデル3は2本の断層が密度境界になり、密度構造が階段状を呈していると考えたケースである。
反射法探査結果では、さらに平野側に断層面が幾つか見られるが、モデル3のような構造では観測重力値をうまく説明できない。従って、観測重力値から見ると、断層面がさらに平野側にあったとしても、「密度」構造的には密度モデル1または2の構造に近いと考えられる。
密度モデル1と2の違いは、密度差が大きければその分砂礫層が薄くなり、密度差が小さければ砂礫層が厚くなることを示す。
井波町・連代寺測線と同様に、2本の断層の間には医王山累層が分布している。密度モデル1は2条の断層が密度境界になり、密度構造が階段状を呈していると考えたケース、密度モデル2は山側の断層だけが密度境界になっていると考えたケースである。
この場合も井波町・連代寺測線と同じく、山側に1つだけ逆断層面がある密度モデル2の方が、平野側にも逆断層面が見られる密度モデル1よりも観測重力値を説明しやすい。いずれのケースも密度差が0.3[g/cm3]であるが、井波町・連代寺測線と同様に、この密度差が大きいと境界深度が浅くなり、密度差が小さいと境界深度が深くなる。