(2)既存ボーリングデータ調査

既存ボーリング柱状図・既存地質図を用い、地質状況について検討を行った。検討に用いたボーリング柱状図は、井戸ボーリング・温泉ボーリング・富山県地盤図集および一般土木調査ボーリングである。土木ボーリング柱状図は、主に広域農道調査・赤祖父ため池改修工事に関係したものを収集した。

しかし、高清水断層周辺はほとんどが農耕地であり、ボーリング数もかなり少ないため、既存ボーリング柱状図のみを用いた断面図は作成するまでには至らなかった。

今回収集したボーリング柱状図は、浅い部分の情報について有用なボーリングはなかったが、これらの中で、法林寺地内における温泉ボーリング(温泉は湧出せず)と、井波温泉ボーリング(道の駅「井波」)では、深部の地質情報に関する有用なデータが得られている。

福光町法林寺地内の温泉ボーリングにおいては、深度38m付近までは砂礫層が分布し、それ以深では泥岩と礫の互層が深度380mまで連続する。これ以深では砂質泥岩・泥岩・凝灰岩と、後背地の丘陵に分布する地質が連続していることから、深度38m〜380m間に分布する礫・泥岩互層は、その層相・分布形態などから埴生累層相当層である可能性がある(図3−1−1)。

井波町井波地内の温泉ボーリングにおいては113m付近まで砂礫層が分布し、それ以深は凝灰角礫岩・凝灰岩、砂岩・泥岩などを主体として分布する。この付近の標準的な層序としては凝灰角礫岩の間に層厚300mもの泥岩・砂岩を挟在するものは報告されておらず、深度190m付近の凝灰角礫岩/泥岩境界付近に断層が存在する可能性がある(深度220〜245m付近に泥土との標記あり)(図3−1−2)。