2−5−5 ボーリング調査のまとめ

ボーリング調査および各種検層、試料分析により判明したことは以下のとおりである。

1)断層上盤側(A・C孔の結果より)

・表層部の砂礫層の厚さは18〜20m程度あり、下位の西富山砂岩層を不整合で覆っている。砂礫層の中から得られた木片試料の年代測定結果より、おそらく砂岩層との不整合面付近まで沖積層であると考えられる。

・火山灰分析結果より西富山砂岩層上部は、洪積世前期程度まで堆積していた可能性が示唆された。

・断層上盤側の「三角地帯」に分布する地質は砂岩層であり、傾斜は30〜50度程度である。また、この層理面に直交する割れ目に逆断層センスのスリッケンサイドが認められる。

2)断層付近(A・B・D孔の結果より)

・A孔の深度102.80m(標高−91.73m)にて砂岩層と砂礫層の境界を確認した。地層の逆転、スリッケンサイド、礫の破断などの状況より高角度逆断層の断層境界であると考えられる。

・B孔とD孔で確認された粘土〜シルト混じり細砂の挟み層の分布は、上面の標高がそれぞれ−4.55m、−2.05m、底面の標高が−9.15m、−8.20mであり、上面で約2.5m、底面で約1mのギャップがあることが分かった。また、この層準より産出した木片試料の年代測定結果より約7000年前に堆積したものであることがわかった。

・D孔では断層が砂礫層の中に入り、詳細を把握することはできなかった。

・速度検層の結果、断層上盤側の砂岩より下盤側の砂礫層の地盤速度が速い結果が得られた。これは反射法探査結果による速度構成を支持するものである。

3)断層下盤側(A・B・D孔の結果より)

・A孔の結果より少なくとも深度200m(標高−188.93m)までは砂礫層が連続して分布することが分かった。この砂礫層は比較的締まりがよく、くさり礫も認められ、花粉分析、熱ルミネッセンス年代測定結果より、洪積世中期程度(40〜50万年前程度)の砂礫層であると考えられる。

・B孔は採取率が低く、基質のほとんどを流失しており詳細は不明であるが、電気検層のパターンより、基本的にはD孔と同じ地質が分布するものと考えられる。これらの分布標高については若干差異があるものと思われる(B孔の方が同一層準の分布標高が低い)。

・B孔とD孔で深度15m付近で確認された粘土〜シルト層は、木片試料の年代測定結果より約7000年前程度に堆積したものであり、この結果より、沖積層と洪積層の境界は深度約20m付近ではないかと想定される。