2−5−2 調査結果

ボーリングコア観察結果は、縮尺1:10の柱状図にまとめて別添資料集に示した。また、概略柱状図(縮尺1:100)およびボーリングコア写真を巻末に示す。

 以下に各孔の概要を示す。

○A孔〔掘進長:200.00m、孔口標高:11.070m〕

国史跡 安田城趾の濠の脇の外周道路上で、深部反射法探査解析測線上に位置する。断層面を地表から抜き、断層上盤側・下盤側の地質状況の確認とともに、断層の性状を確認することを目的とする。確認された地質状況の概要は以下のとおりである。

0.00〜 4.50m:粘土〜シルト(沖積層)

固結度の低い粘土〜シルトで、シルトはやや砂分が多い。3.60〜3.70m近はbwタイプの火山ガラスや斜方輝石を含むが、様々なものが雑然と混入しており再堆積物である可能性が高い。

4.50〜 5.20m:中砂(沖積層)固結度低い中砂。炭質物を含む。

 5.20〜 6.35m:砂礫(沖積層礫径10〜60mm程度の円礫を多く含む砂礫層。基質は粗砂〜シルトで、6.20〜6.35mは腐植物が混じり粘土がちである。

 6.35〜 7.70m:粗砂(沖積層)固結度低い粗砂。

 7.70〜 9.20m:砂礫(沖積層)礫径5〜50mm程度の円礫を含む砂礫。全体的にやや砂がちである。基質の一部にシルトが混じる。8.10〜8.30mは基質に腐植物が混じる。

9.20〜 9.70m:中砂(沖積層)固結度低い中砂。

9.70〜 13.60m:砂礫(沖積層)礫径20〜40mm程度の円礫を含む砂礫。基質は細粒分が多く粘土〜細砂が多い。下位に向かうにつれて礫率が高くなる。

13.60〜 14.00m:中砂(沖積層)淘汰のよい中砂 固結度低い。

14.00〜 15.20m:砂礫(沖積層) 礫径5〜30mm程度の円礫を含む砂礫。基質は中砂〜細砂である。

15.20〜 20.20m:玉石混じり砂礫(沖積層?、洪積層?礫径10〜100mm程度の円礫を含む砂礫層。基質は粗砂〜中砂で部分的に粘土分が混じる。

20.20 〜49.70m:細粒砂岩(新第三紀 西富山層)塊状無層理の細粒砂岩。主に石英・斜長石・石質岩片からなり、軽石型の火山ガラスを含む。固結度はやや低く、コアの角を指で砕くことができる程度の硬さである。60〜70度程度の割れ目沿いにしばしば縦ずれ逆断層センのスリッケンサイドが認められる。湿潤密度は2.05g/cm3程度であ20.20〜20.35m、22.75〜22.80mに軽石型〜バブルウォール型の火山ガス主体の火山灰が認められる。境界部の傾斜は25〜30度程度である。

49.70〜 58.60m:軽石質粗粒砂岩(新第三紀 西富山φ数mmの軽石を多く含む粗粒砂岩。主に軽石型火山ガラス・斜長石・石英 ・黒雲母・斜方輝石および石質岩片からなる。固結度はやや低く、指で砕ことができる程度の硬さである。湿潤密度は1.95g/cm3程度である。上位の細粒砂岩との境界部の傾斜は28度である。

58.60〜 60.40m:中粒砂岩(新第三紀 西富山層)わずかに軽石を含む塊状無層理の中粒砂岩。

60.40〜 75.80m:細粒砂岩(新第三紀 西富山層)塊状の細粒砂岩。主に石英・斜長石からなる。比較的堅硬であり、指圧では潰れず割れ目の角はしっかりしている。湿潤密度は2.13g/cm3程度である斜交成層が見られ40〜60度の傾きを持っている。層理面に直交する割れ目(50〜70度程度)が多く見られ、しばしば縦ずれ逆断層センスのスリッケンサイドが認められる。

75.80〜 84.35m:中粒砂岩(新第三紀 西富山層)塊状無層理の中粒砂岩。主に斜長石・石英よりなる。全体に脆く指で崩すことができる。上位の細粒砂岩との境界部は60度で、縦ずれ逆断層センスのスリッケンサイドが認められ、粘土を挟在する。湿潤密度は2.18g/cm3程度である。

84.35〜102.80m:細粒砂岩(新第三紀 西富山層)塊状無層理の細粒砂岩。主に斜長石・石英よりなる。コアは指で砕くこと ができる程度の硬さである。96m以深で黄褐色となり、コアも軟らかくなり、細脈状の細粒分が認められるようになる。湿潤密度は2.11g/cm3程度である。94.10〜95.85m破砕帯。周辺はクラックが多く認められる。102.50m 明瞭な縦ずれ逆断層センスのスリッケンサイドが認められる。

102.80〜123.90m:玉石混じり砂礫(洪積層)礫径100mmを越える玉石を多く含む砂礫。基質は中砂から細砂がほとんどであり、部分的に粗砂や粘土を含む。全体的に礫率が高く、締まりがよい102.85m付近の花崗岩円礫(径5cm程度)が60度の割れ目で破断されている。

123.90〜125.00m:中砂(洪積層)淘汰のよい中砂で締まりがよい。

125.00〜127.50m:砂礫(洪積層)礫径20〜50mm程度の円礫を含む砂礫。コアのほとんど流失しており詳細は不明であるが、礫の表面に酸化鉄が付着しており、透水性が高いことが推定される。

127.50〜128.40m:凝灰質シルト(洪積層)風化し「みそ」状になった軽石を含むシルト。

128.40〜142.65m:玉石混じり砂礫 (洪積層)礫径100mmを越えるような玉石を多く含む砂礫。基質は礫に付着しているものから考えると細砂〜粗砂であると思われるが、ほとんど流失している。132.80m、136.20mに花崗岩のくさり礫が認められる。

142.65〜143.45m:砂質シルト(洪積層締まりのよいシルトで、炭化木片を挟在する。木片の傾き(層理面?)は38度程度である。

143.45〜167.50m:玉石混じり砂礫(洪積層)礫径100mmを越えるような玉石を多く含む砂礫。基質はほとんど流失しているが、礫に付着しているものから考えると細砂〜粗砂であると思われる。147.15m、148.00mに花崗岩のくさり礫が認められる。

167.50〜169.30m:シルト(洪積層)かなり締まりのよいシルトで、上位は腐植物からなり、もともとはピート状であったと考えられる。

169.30〜193.10m:玉石混じり砂礫(洪積層)礫径100mmを越えるような玉石を多く含む砂礫。基質はほとんど流失しており詳細は不明である。191〜193m付近 礫の表面に酸化鉄が付着する。

193.10〜200.00m:砂礫(洪積層)コアのほとんどを流失しており詳細は不明であるが、玉石などは認められ ず、50mm前後の礫を含む砂礫層であると考えられる。

○B孔〔掘進長:56.00m、孔口標高:10.849m〕

北陸自動車道脇の休耕田の中に位置する。浅部反射法探査により、深度80〜90mに上に凸な反射面が認められており、これらの地質確認・深度の把握を含めて、断層下盤側の地質状況の確認を目的とする。なお、周囲は耕作田であり、用地の関係上、浅部反射法探査解析測線より南東方向に約100mオフセットしている。確認された地質状況の概要は以下のとおりである。

0.00〜 2.90m:粘土〜シルト(沖積層)休耕田内のボーリングであり表層部は耕土である。

2.90〜 7.40m:砂礫(沖積層)礫径10〜30mm程度の円礫を含む砂礫。基質は粗砂が主体でしばしば粘土が混じる。

7.40〜 15.40m:玉石混じり砂礫(沖積層)礫径60mmを越える円礫を多く含む砂礫。基質は粗砂主体だがほとんど流失している。

15.40〜 20.00m:粘土〜シルト混じり細砂(沖積層)比較的締まりのよい粘土〜細砂。炭質物を含み、還元状態で堆積した堆積物。掘削直後は青灰色を呈するが、酸化してすぐにオリーブ色を帯びる。

20.00〜 56.00m:玉石混じり砂礫(沖積層〜洪積層)礫径100mmを越える玉石を多く含む砂礫。基質は流失しており詳細は不明である。

○C孔〔掘進長:100.00m、孔口標高:11.450m〕

 国史跡 安田城趾管理棟脇の駐車場内に位置する。深部および浅部反射法探査により明らかになった断層上盤側の「三角地帯」の地質状況の確認を目的とする。なお、両反射法探査解析測線上は、安田集落および耕作田があり、用地の関係上、両測線から、ともに約300mオフセットしている。確認された地質状況の概要は以下のとおりである

0.00〜 1.00m:アスファルト・採石安田城趾管理棟駐車場内でのボーリングであり、舗装部分のアスファルト・採石が分布する。

1.00〜 18.35m:砂礫(沖積層) 礫径10〜100mm程度までの円礫を多く含む砂礫層。基質に一部粘土がまじり、部分的に玉石が混じる。5.45〜5.65m、6.80〜7.00m、9.65〜9.80mに炭質物を多く含む。

18.35〜 73.45m:細粒砂岩(新第三紀 西富山層)塊状・無層理の細粒砂岩で、固結度が非常に高い。割れ目の角を指で潰すのは難しい程度の堅さである。しばしば炭質物(φ数mm程度)を含むが、層理面は非常に不明瞭である。24〜60度?の傾きを持つものと思われる。部分的に割れ目が発達する。湿潤密度は1.99g/cm3程度である。

73.45〜100.00m:細粒砂岩(新第三紀 西富山層)

塊状・無層理の細粒砂岩で固結度が高い。上位の砂岩層に比べやや軟質で割れ目の角は指で容易に潰すことができる程度の堅さである。しばしば炭質物を含むが、層理面は非常に不明瞭である。95.37〜95.44m間に円礫を含む。湿潤密度は2.13g/cm3程度である。

○D孔〔掘進長:67.00m、孔口標高:10.405m〕

 町道南東側の墓地の脇に位置する。浅部反射法探査によって得られた断層f1,f2の間を抜くボーリングであり、他孔の結果とあわせ、断層による地層の変位の確認を目的とする。なお、浅部反射法探査解析測線上は墓地であり、用地の関係上、南東方向へ約40mオフセットしている。確認された地質状況の概要は以下のとおりである。

0.00〜 3.20m:粘土(沖積層)耕作田内のボーリングであり、表層部は耕土である。

3.20〜 12.45m:砂礫(沖積層)礫径10〜40mm程度の亜円礫を主体とする砂礫。基質は粗砂〜粘土と淘汰が 悪く、固結度も低い。

12.45〜 18.60m:粘土〜シルト(沖積層)

比較的締まりのよい粘土〜細砂。炭質物を含み、還元状態で堆積した堆積物。掘削直後は青灰色を呈するが、酸化してすぐにオリーブ色を帯びる。

18.60〜 25.05m:粘土混じり砂礫(沖積層?洪積層?)礫径5〜50mm程度の亜円礫を主体とする砂礫。基質は粘土〜細砂でやや締まりがよい。

25.05〜 28.55m:玉石混じり砂礫(洪積層)礫径80mmを越える玉石を多く含む砂礫。基質は細砂〜粘土でやや締まりがよい。

28.55〜 30.75m:粘土混じり砂礫(洪積層)礫径60mmを越える円礫を多く含む砂礫。基質は粘土〜細砂。

30.75〜 36.30m:玉石混じり砂礫(洪積層)礫径100mmを越える玉石を多く含む砂礫。基質は粗砂〜シルトだが、ほとんど流失している。

36.30〜 42.00m:砂礫(洪積層)礫径10〜50mm程度の円礫を主体とした砂礫。基質は粗砂〜中砂だが、ほとんど流失している。

42.00〜 45.40m:玉石混じり砂礫(洪積層)礫径100mmを越える玉石を多く含む砂礫。基質は中砂〜粗砂だが、ほとんど流失している。

45.40〜 46.60m:粘土混じり砂礫(洪積層)礫径10〜60mm程度の円礫を多く含む砂礫。基質は粘土分が多い。

46.60〜 50.15m:玉石混じり砂礫(洪積層)礫径70mmを越える円礫を多く含む砂礫。基質は粗砂が主体で中砂が混じる。孔壁保護のためのセメントの混入が著しい。

50.15〜 52.30m:粘土混じり砂礫(洪積層)礫径10〜50mm程度の円礫を主体とした砂礫。基質は粘土〜中砂である。

52.30〜 59.50m:玉石混じり砂礫(洪積層)礫径100mmを越える玉石を多く含む砂礫。基質は粗砂だが、孔壁保護のためのセメントの混入が著しい。

59.50〜 61.50m:砂礫(洪積層)礫径10〜50mmの円礫を含む砂礫。基質は中砂〜粗砂だが、孔壁保護のためのセメントの混入が著しい。

61.50〜 67.00m:玉石混じり砂礫(洪積層)礫径80mmを越える玉石を多く含む砂礫。基質はセメントの混入が著しく詳細は不明だが、中砂〜粗砂が主体と思われる。