4−1−2 <栃本南方断層>

栃本南方断層については,平成9年度の調査でL−3リニアメントが通ると推定された菅野地区の袋川支流の最下流部の湿原出口付近でボーリング調査を実施した.その結果,西端のBS−1とそのすぐ東側のBS−6との間で,基盤岩の上面標高に西上がりの約5mの落差があり,被覆層の分布,層相が大きく変化することが明らかになった.したがって,BS−1とBS−6の間に栃本南方断層の主断層が通っている可能性が高いと推定される.

栃本南方断層の活動年代を直接示す調査結果は得られなかったが,基盤岩を覆う被覆層の層相変化からみて,最下部の玉石混じり砂礫層とそれより上位の腐植質に富む層との間で堆積環境が大きく変化したと考えられる.この環境変化は,栃本南方断層の活動と関連している可能性がある.環境変化前後の堆積物について14C年代測定を行ったところ,変化前の堆積物は9,630±70年,変化後の堆積物は1,810±40年という結果が得られた.