地形的に主断層が位置すると推定されていた湿原とその西側を区切る丘陵の境界付近で,推定される断層を横断するようにボーリング調査を6本を実施した結果,西端のBS−1とそのすぐ東側のBS−6との間で,基盤岩の上面標高に落差があり,被覆層の分布,層相が大きく変化することが明らかになった.基盤岩の落差は,安山岩の上面で西上がりに約5mに達している.
この基盤岩の上昇構造は,断層による西上がりの変位を示している可能性があり,地形からみた栃本南方断層の変位状況と調和的である.したがって,BS−1とBS−6の間に栃本南方断層の主断層が通っている可能性が高いと考えられる.
地下水位については,ボーリング間で大きな変化がなく,西端のBS−1付近で地下水がせき止められるような地質構造になっていると考えられるが,この推定結果も各ボーリング調査で得られた地層の分布結果と調和的である.