上位からBS−1からBS−4の全ボーリングにおいて風化安山岩,弱風化安山岩,安山岩(新鮮)に分類できる.BS−6,BS−3,BS−4ボーリングでは,風化安山岩の上位にさらに風化の進んだ強風化安山岩が分布している.
強風化安山岩では,全般に風化が著しく進行し,コアは粘土〜砂状である.所々に礫状(径5〜50mm)の岩芯を残すが,軟化しており岩片は指で容易にくずれる.BS−3,BS−4では原岩の岩組織が残っている.
風化安山岩では,全体に風化が著しく進行しており,コアは砂状を呈する.所々に礫状(径5〜50mm)の岩芯を残すが,岩片は軟化がやや進んでいる.BS−2では原岩の岩組織が残っている.
弱風化安山岩では,コアは角礫状である.礫径は30〜50mmである.部分的に5〜10cmの短柱状コアとなる.BS−2では原岩の岩組織が残っている.
安山岩(新鮮)は,亀裂がみられるものの新鮮で硬質である.コアは礫状(径40〜60mm)〜短柱状(5〜10cm)を主体とする.亀裂周辺は砂〜礫化している.
この安山岩は,ボーリング地点周辺の地質状況や地表質踏査結果からみて,扇ノ山起源の溶岩と考えられる.
BS−2のボーリングコアから14C年代測定用試料を採取し,年代測定を実施した(表3−3−1).その結果,C腐植土層は1,810±40y.B.P.,E腐植混じり礫混じり粘土層は9,630±70y.B.P.という値が得られた.
表3−3−1 菅野地区14C年代測定結果
各ボーリング結果から,ほぼ東西方向の地質断面図を作成した(図3−3−4).図3−3−4に基づき各層の分布について記載する.
基盤岩である安山岩(扇ノ山起源)の上面標高は,西端(最下流部)のBS−1において最も高く381.95mであるが,東(上流側)に向かって急激に低くなり,すぐ東隣のBS−6では376.95mとなり,その差は5mである.BS−6より東側では,全体として東端のBS−4(標高377.64m)から西方へ向かって徐々に低くなり,湿原出口付近のBS−5付近で最も低くなる(標高375.62m).したがって,基盤岩の上面は,湿原出口付近のBS−5付近を底として西側の欠けた椀状の形状を示す.
BS−6からBS−4にかけて分布する被覆層の各層は,全体として湿原出口付近のBS−5あるいはBS−6に向かって西に(下流側に)非常に緩やかに傾斜している.最下部の玉石混じり砂礫層は,基盤岩上面の凹凸を埋積するように厚く堆積しており,その上面は東端のBS−4から湿原出口付近のBS−5に向かって緩やかに傾斜している.その上位の礫混じり腐植混じり粘土層および腐植質粘土混じり砂礫層も,東端のBS−4からBS−5に向かって緩やかに西に傾斜しながら堆積しているが,BS−5とBS−6の間で急に薄くなり尖滅する.腐植質粘土混じり砂礫層より上位の層も東端のBS−4からBS−5に向かって緩やかに西に傾斜しながら堆積して,BS−5からBS−6に向かって急傾斜となり,層厚が厚くなる傾向が見られる.西端のBS−1には,BS−6からBS−4にかけて分布する各層は全く分布しておらず,非常に新しい現河床の砂礫層のみが直接基盤岩を覆って分布する.
図3−3−4 菅野地区推定地質断面図