(2)TO−2トレンチ

f17露頭から南東方向へ山地と谷底平野の境界が直線的に続いており,断層崖の可能性が高い.f17露頭ではDKPより上位の地層が下盤側で欠如しているため,DKPより上位の地層が残されている可能性が高い地点で,断層崖の可能性が高い段差を跨ぐようにTO−2トレンチを掘削した.TO−2トレンチはf17露頭のすぐ南側約5mに位置する(図3−2−4−2).

トレンチ調査の規模は,トレンチ上面での長さ約9m,同幅約4m,深さ最大4mである.東西南北の壁面を整形し,詳細に観察を行ない,スケッチを行った.トレンチTO−2のN面(北側壁面)のスケッチを図3−2−9−1に,同写真を写真3−2−8−1に,E面(東側壁面)のスケッチを図3−2−9−2に,同写真を写真3−2−8−2に,S面(南側壁面)のスケッチを図3−2−9−3に,同写真を写真3−2−8−3に,W面(西側壁面)のスケッチを図3−2−9−4に,同写真を写真3−2−8−4に示す.

トレンチTO−2では,S面の観察結果をもとにして層序を作成し,先の項目であるf17露頭の露頭精査結果と合わせて検討するために,便宜上共通の地層番号である@〜Rを付けた.対比については表3−2−2に示す.

S面の各層について上位より順に記載する.

図3−2−9−1 TO−2トレンチN・W面のり面スケッチ図(縮尺1:40)

図3−2−9−2 TO−2トレンチS・E面のり面スケッチ図(縮尺1:40)

写真3−2−8−1 トレンチ全景写真

写真3−2−8−2 TO−2トレンチN面写真

写真3−2−8−3 TO−2トレンチS面写真

写真3−2−8−4 TO−2トレンチS面拡大写真およびW・E面全景写真

@表土

壁面右側のS0〜S6間(西側)の谷部は旧耕作土で,やや不均質な砂質シルトである.壁面左側(東側)の山地部のS6〜S10間は,砂混じり〜砂質シルトで,竹根,木根を多く混入する.下部には風化礫が点在する.黒茶色を呈する.

B腐植質土層

腐植土を主体とする層.S0〜S4にかけて断層の両側に分布し,一部は覆うように分布する.層相から3つに区分できる.

B−1腐植質土

非常に腐植質な土.礫径5〜20mmの礫を少量混入する.黒茶色を呈する.

S0〜S1にかけて層厚15cm程度で分布しており,2本に分岐した断層の下側の断層を確実に覆っている.この層から土壌を14C年代測定用試料として採取し,測定した結果,3,590±70年前との結果を得た(表3−2−5).@層に覆われ,B−2,B−3およびC層を覆っている.

B−2腐植質土

腐植質な土.礫径5mmの礫を少量混入する.全体に現世の木根,草根を混入する.暗茶色を呈する.

S1〜S2にかけて断層の上盤側のみに層厚15cm程度で分布する.下位のC層の裂けたような割れ目を充填するように堆積している.2本に分岐した断層の上側の断層で切られている.@層およびB−1層に覆われ,B−3層とC層を覆っている.

B−3腐植質土

弱腐植質な土.礫径5mmの礫を混入する.若干であるが,左側(東側)ほど,砂,礫の含有量が多くなる.全体に現世の木根,草根を混入する.

S0〜S1.5にかけて,主として断層の下盤側の2本に分岐した断層の間にみられる.下位のC層(C−3)の裂けたような割れ目を充填するように堆積している.この層から土壌を14C年代測定用試料として採取し,測定した結果,7,490±60年前との結果を得た(表3−2−5).原則的にB−2層に覆われ,C層を覆うが,露頭右端(西端)では,B−1層に覆われている.

C礫混じりシルト層

シルト主体層.風化凝灰岩の礫〜砂礫が混入する.壁面左側(東側)の山側のS5〜S10間は,層相からC−1とC−2の2層に細分できる.壁面右側のS0〜S4間(西側)の谷側に分布するC−3とは,埋土によって分断されているが,C層としては連続するものと考えられる.

C−1礫混じりシルト

シルト主体.礫径10〜20mmの風化凝灰岩礫がやや多く混入しており,若干砂分も混入している.含水比はやや高めである.層の上面には凹凸がみられ,@層に埋積されている.赤褐色を呈する.

S4.5〜S10にかけて最大層厚は約100cmで,断層の上盤側にのみ分布する.@層に覆われ,C−2層とD層を覆っている.

C−2礫混じりシルト

シルト主体.礫径10〜20mmの風化凝灰岩礫が不均一に混入している.最大礫径は50mmである.礫は角礫が主体で,右側(西側)ほど,礫分が多くなる.褐灰色を呈する.

S7〜S10にかけて最大層厚30cm程度で,断層の上盤側にのみ分布する.C−1層に覆われ,D層とP層を覆っている.

C−3砂礫混じりシルト

全体に不均質なシルトで,所々に礫径5〜20mmの風化礫が混入している.若干の粘性がみられる.含水比は中程度である.茶褐色を呈する.

S0〜S4にかけて最大層厚70cm程度で,断層を挟んで両側に分布する.断層を挟んでの見かけの鉛直変位量は40cm程度であるが,断層は上部で2本に分岐して低角化(約20゜)しているので,実際の変位量はかなり大きいと思われる.2本の断層に挟まれた部分は,断層にそって長く引き延ばされたようになっている.また,上面は裂けたような割れ目が発達しており,凹凸が激しい.@層,B層に覆われ,D層を覆っている.

Dシルト−砂礫互層

全体としてシルトと砂礫との互層状をなしている.層相により3つに区分できる.

D−1シルト−砂礫互層

全体に非常に不均質なシルト−砂礫互層で,壁面左側(東側)へ行くにしたがってシルトが優位となる.礫径は5〜40mmの円礫が主体である.最大層厚は約50cm程度で,灰色を呈する.

S0〜S8にかけて断層を挟んで両側に分布する.断層を挟んでの見かけの鉛直変位量は約60cm程度であるが,上盤側のD−1は,2本に分岐した断層の上側の断層に沿って引き延ばされてように延びており,実際の変位量はかなり大きいと思われる.@層,B層に覆われ,D−2,D−3を覆っている.

D−2礫混じり有機質シルト

若干有機質なシルトで,砂,礫を少量混入する.礫は風化礫で,径5〜40mmが主体である.褐灰色を呈する.

S5.5〜S7.5にかけて層厚40cm程度で断層の上盤側にのみ分布する.C層とD−1に覆われ,D−3とPを覆っている.

D−3シルト−砂礫互層

砂混じりシルトと砂礫の互層で,全体にシルトが優位である.壁面右側(西側)へ行くにしたがってその傾向が顕著となる.礫径2〜4mmの細礫が主体で,最大礫径でも10mmである.

S0〜S6にかけて層厚40cm程度で断層を挟んで両側に分布する.上盤側のD−3は,断層に沿って引き延ばされたように下に垂れ下がっている.垂れ下がっている部分を除いて,断層を挟んでの見かけの鉛直変位量は,80cm以上である.D−1,D−2に覆われ,上盤側はG層,H層,J層,O層を覆い,下盤側はE層を覆っている.

E火山灰層(DHg)

微細砂質の火山灰層.所々に小礫を混入する.下盤側ほぼ中央(S2+60,H4+87)で採取した試料の火山灰分析の結果,ガラス質岩片を多く含む結晶質火山灰であること,火山ガラスは軽石質で,火山ガラスの屈折率がn=1.501〜1.509に集中すること,重鉱物としてGHo,Opxを主とすることから,大山東大山火山灰(DHg)と同定された(巻末資料参照).灰色を呈する.

S0〜S4にかけて断層を挟んで両側に分布する.上盤側は,下位のG層,H層,I層とともにちぎれたようなブロックとなっており,乱れた構造をなしながら,全体として東向かって撓曲している.下盤側はほぼ水平な3cm程度の薄層として分布している.下盤側では,D層に覆われ,F層を覆っている.

Fシルト層

ほぼ均質なシルト層.壁面右側(西側)では,一部に砂層を挟在している.明青灰色を呈する.

S0〜S4にかけて20cm程度の厚さで,断層の下盤側のみに分布する.ほぼ水平な層として分布している.E層に覆われ,G層を覆っている.

G火山灰層(DSs)

微細砂質の火山灰層.所々に小礫を混入する.下盤側ほぼ中央(S2+50,H5+5)で採取した試料の火山灰分析の結果,ガラス質岩片を多く含む結晶質火山灰であること,火山ガラスは軽石質で,火山ガラスの屈折率がn=1.502〜1.505に集中すること,重鉱物としてGHo,Opxを主とすることから,大山笹ヶ平火山灰(DSs)と同定された(巻末資料参照).灰色を呈する.

S0〜S4.5にかけて断層を挟んで両側に分布する.上盤側は,上位のE層,下位のH層,I層とともにぎれたようなブロックとなっており,乱れた構造をなしながら,全体として東向かって撓曲している.下盤側はほぼ水平な層厚3cm程度の薄層として分布している.下盤側では,F層に覆われ,H層を覆っている.

H火山灰層(AT)

均質で火山ガラス質の火山灰層.非常に固く,締まっている(半固結状).下盤側ほぼ中央(S2+90,H5+10)で採取した試料の火山灰分析の結果,典型的なバブル・ウォール型のガラスを含んでおり,火山ガラスの屈折率がn=1.497〜1.501に集中すること,スーパーハイドレーションが生じていないことから,姶良Tn火山灰(AT:約2.5万年前)と同定された(巻末資料参照).鳥取県付近では,「キナコ」と呼ばれているように,褐灰色を呈する.

S0〜S4.5にかけて断層を挟んで両側に分布する.上盤側では,上位のE層,G層,下位のI層とともにちぎれたようなブロックとなっており,乱れた構造をなしながら全体として東向かって撓曲している.下盤側はほぼ水平な層として層厚18cm程度で分布している.下盤側ではG層に覆われ,I層を覆っている.

I砂層

中砂主体の砂層.締まりがやや悪く,容易に洗い流される.茶褐色を呈する.

S0〜S4.5にかけて断層を挟んで両側に分布する.上盤側では,上位のE層,G層,H層とともにぎれたようなブロックとなっており,乱れた構造をなしながら,全体として東向かって撓曲している.下盤側はほぼ水平な3cm程度の薄層として分布している.上盤側ではJ層を覆う.下盤側ではH層に覆われ,J層を覆っている.

J礫混じりシルト層

ほぼ均質なシルト層.所々に小礫を混入する.明青灰色を呈する.

S0〜S5にかけて断層を挟んで両側に分布する.上盤側のS4.5〜5付近において,H4+50では断層を挟んで上盤側がほぼ垂直に折れ曲がっているようにみえる.断層を挟んでの見かけ鉛直変位量は,200cm以上である.I層に覆われ,上盤側ではO層を覆う.下盤側ではL層を覆っている.

L火山灰層(DKP)

軽石質の火山灰層.f17露頭で採取した試料の火山灰分析の結果,大山倉吉軽石(DKP:約5万年前)と同定された(巻末資料参照).褐灰色を呈する.

S3.5〜S5にかけて断層の断層を挟んで両側に分布する.上盤側では,下位のO層中に注入されたように細長く直立して,不規則な凹凸をもつ形態を示す.したがって,変位量の測定はできなかった.下盤側では,ほぼ水平に堆積しているが,上面は凹凸が激しい.最大層厚は約90cmである.断層沿いに引き延ばされたようになっており,一部はちぎられてブロック化し,断層沿いに張り付いている.下盤側ではJ層に覆われ,M層を覆っている.

Mシルト層

シルト層.若干有機質である.灰色を呈する.

S5〜S7にかけて断層の下盤側のみに,ほぼ水平な5cm程度の薄層状に分布する.L層に覆われ,N層を覆っている.

N砂礫層

砂礫を主体とする層である.砂分は粗砂である.礫は径20〜50mmの風化凝灰岩礫を主体とする.茶褐色を呈する.

S5〜S7にかけて断層の下盤側のみに分布する.f17露頭の観察結果を合わせると層厚は5m以上あるものと考えられる.M層に覆われる.

O有機質シルト層

ほぼ均質で有機質なシルト層.所々に小礫が混入している.断層面から注入されたようなL層のDKPを内包する.また,下位のP−1の上面の裂け目を埋積している.暗灰色を呈する.

S4〜S7にかけて断層の上盤側のみに分布する.上盤側のS5付近において,H4+50より下はほぼ垂直に,H4+50より上では緩やかに右(西)に傾斜している.全体として右(西)に凸な撓曲構造をなしており,層厚は60cm程度である.D層,J層に覆われ,P層を覆っている.

Pシルト層

シルトを主体とする層である.S6より左側(東側)では緩やかに西に傾斜しているが,S6付近で急傾斜となり,全体として西に凸な撓曲を示す.層相から3つに区分できる.

P−1礫混じり〜礫質シルト

礫径10〜50mmの風化凝灰岩礫をやや多く混入する.礫は風化が進行してやや軟化している.右側(西側)ほど,礫の含有量が多くなる.S5〜S7付近の上面は亀裂が形成されており,凹凸が激しい.凹凸を上位のO層が埋積している.灰色〜乳白色を呈する.

S5.5〜S9.5にかけて断層の上盤側のみに層厚40cm程度で分布するが,S8から山地側では100cmと厚くなっている.上盤側のS5+50付近において,H4+50より下は高角度で西に傾斜しており,H4+50より上では緩やかに右(西)に傾斜している.全体として右(西)に凸な撓曲構造をなしており,層厚は60cm程度である.O層,D層,C層に覆われ,P−2を覆っている.

P−2有機質シルト

弱有機質なシルト層で,礫径10〜20mmを主体とする風化小礫を,不均一に混入する.所々に炭化木片を混入している.この層の最下部には酸化帯が形成されている.暗灰色を呈する.

S5.5〜S9にかけて断層の上盤側のみに層厚60cm程度で分布する.上盤側では,S5+50付近でC層より下部は高角度で西に傾斜しており,C層より上部では緩やかに右(西)に傾斜している.全体として右(西)に凸な撓曲構造をなしている.P−1層に覆われ,P−3層を覆っている.

P−3砂混じり〜砂質シルト

非常に不均質なシルトで,所々に砂,礫をポケット状に混入する.礫は径20〜50mmで,風化凝灰岩礫である.炭化木片が点在している.青灰色を呈する.

S5.5〜S9にかけて断層の上盤側のみに層厚50cm程度で分布する.上盤側のS6付近において,H4より下部は高角度で西に傾斜しており,H4より上部では緩やかに右(西)に傾斜している.全体として右(西)に凸な撓曲構造をなしている.P−2層に覆われ,Q層を覆っている.

Q腐植土層

全体に不均質である.粗砂〜小礫を不均一に混入する.巨木が5〜40cmの木片状になったものを非常に多く混入している.所々にシルト(青灰色)の薄層を挟在する.黒色を呈する.

S6〜S9にかけて断層の上盤側のみに層厚60cm程度で分布する.分布の形態は複雑で,S7付近でH5より下部は,垂直ないしは逆転して高角度で東に傾斜しており,H5より上部では緩やかに右(西)に傾斜している.全体として右(西)に凸なドーム状の構造をなしている.断層沿いの部分では,引き延ばされたようになって断層に張り付いているのが認められる.P層に覆われ,R層を覆っている.

R'層砂〜礫混じりシルト層

シルト主体層.壁面の左下(東端下部)に分布しており,TO−2トレンチでみられる最も下位の層である.層相から2つに区分できる.

R−1砂混じり〜砂質シルト

非常に不均質なシルトで,所々に砂,礫をポケット状に混入する.礫は径20〜50mmで,風化凝灰岩礫である.炭化木片が点在している.青灰色を呈する.

S7〜S9の断層の上盤側のみに,層厚100cm程度で分布する.分布の形態は複雑で,左端(東端)付近では上位のQ層とともに入り乱れた構造を示し,全体としては屈曲による層厚の肥大化が生じているようにみえる.Q層に覆われ,R−2を覆う.

R−2礫混じりシルト

ほぼ均質なシルト.風化礫を少量含む.明黄褐色を呈する.

S7.5〜S9にかけて断層の上盤側のみに分布する.上盤側の左端(東端)にわずかに観察できる.

R−1層に覆われる.

トレンチTO−2のS面では,壁面の右肩(西側上部)から左下(東側下部)に傾き下がる断層が確認できた.この断層は見かけ上東へ傾斜した,東側隆起の逆断層である.断層面の走向傾斜は,N17°E,28°Eと測定された.

断層によって,B層(B−1を除く)からR層までの全ての層が切られている.トレンチ壁面に出現した地層の年代を推定するために,壁面から14C年代測定用試料を採取し,測定した結果を表3−2−5に示す.

表3−2−5 TO−2トレンチの14C年代測定結果

また,火山灰分析用の試料を採取し,分析した結果,E層が大山東大山火山灰層(DHg),G層が大山笹ヶ平火山灰層(DSs)H層が姶良Tn火山灰層(AT:約2.5万年前)と同定された.なお,断層露頭f17における火山灰分析結果より,L層は大山倉吉軽石層(DKP:約5万年前)であることが判明している.

断層を確実に覆っているB−1層と断層に切られているB−3層からは,それぞれ3,590±70 y.B.P.と7,490±60 y.B.P.という値が得られた.したがって,TO−2トレンチ地点における雨滝−釜戸断層の最新活動時期は,約7,500年前〜3,600年前の間であることが明らかになった(図3−2−10).

地層の変形の程度や,断層を挟んでの分布の状況からみると,D層より上位の各層は,断層を挟んで上盤側と下盤側との変形の程度が等しく,累積変位量(鉛直変位のみ)が容易に測定できる.それに対して,J層以降E層までは,断層を挟んで両側に分布しているものの,上盤側では大局的には撓曲状に変形しており,累積変位量の測定は困難となる.また,このうちI層からE層までの各層は,断層の上盤側での変形が著しく,引き裂かれたようにブロック化が進んでおり,その変形量は,D層より上位の地層の変形と比べて有意に大きい.また,E層以下の地層は,D層による削剥を受けている.したがって,E層堆積後,D層堆積以前の期間に断層活動があった可能性が高い.E層(DHg)は,2.5万年前以降(H層=AT)に堆積したことは確実であるので,その活動時期は2.5万年前以降である.D層自体も断層によって切られていることから,E層を変形させた活動時期とD層を切る断層の活動時期は別と考えられる.したがって,2.5万年前以降,最新の活動を含めて,少なくとも2回の断層活動があったと考えられる.

L層(DKP)以下N層までの各層は下盤側のみ分布しており,上盤側ではみられない.上盤側でみられたO層以下の各層は,断層露頭f17の観察結果と合わせて考えると,西にやや凸な急傾斜の撓曲構造をなしており,P層以下は一部逆転が考えられる.L層(DKP)は,下位のO層中に注入されたようになっており,また断層沿いに引きちぎられた部分が上位のJ層中に取り込まれている.したがって,L層以下の変形は,J層より上位のそれとは明らかに異なり,有意に大きい.このことから,L層とJ層の間に活動時期があったと推定できる.L層(DKP)は,約5万年前の降下火山灰層であるので,5万年前以降少なくとも3回の断層活動があったと推定される.

図3−2−10 活動年代の推定図