(2)<基盤岩>

黒色の泥岩と明緑灰色の凝灰岩が分布する.

@泥岩

BE−1では,凝灰岩を挟んで深度4.30〜8.25mまでと,深度10.83m以深に分布する.BE−2では,深度4.82以深に分布する.

BE−1の深度4.30〜8.25mまでに見られる上位の黒色泥岩は,全般に亀裂が密に発達しており,全般に角礫化,軟質化が進行している.

4.30〜7.25m間は亀裂が著しく発達しており(クモの巣状),全般に礫状であるが,亀裂は密着している.とくに4.30〜4.85m間は角礫化(径5〜50mm)が著しく,岩片は粘土化している.5.88〜6.65m間は上位に比べてやや硬質であり,礫径も30〜60mmとなる.6.65〜7.25m間は角礫化(径30〜60mm)した岩片の軟質化が著しく,指で容易に崩れ粘土化する.

7.25〜8.25m間は,全般に岩質がやや硬質となり,短柱状のコア(5〜8cm,最長20cm)が混じる.

BE−1の深度10.83m〜15.00mに見られる下位の黒色泥岩は,凝灰岩より上位の黒色泥岩に比べると全般に硬質で,亀裂の密度が低い短柱状〜棒状のコアが続く部分と,亀裂が発達し,破砕度が高く,角礫化〜粘土化している部分に分かれる.

亀裂の密度が低い部分は,11.50〜13.49m間と14.70〜15.00m間で,新鮮かつ硬質である.11.50〜13.49m間は20cm前後の棒状コアが主体であるが,12.70m付近の亀裂には,厚さ20mmの粘土を挟む.14.70〜15.00m間は,短柱状(7〜10cm)コアである.

亀裂が発達している部分は,10.83〜11.10m間,13.49〜13.61m間,14.20〜14.70m間である.10.83〜11.10m間は角礫化(径30〜50mm)が進んでいる.13.49〜13.61m間は角礫化が著しく,岩片は指で容易にくずれ粘土化する.14.20〜14.70m間は破砕度が高く,岩片の粘土化が進んでおり(14.25m付近),粘土と岩片が混在している.全般に13.49m〜15.00m間は亀裂が発達しており,破砕されて角礫化している.

一方BE−2のコアはBE−1のコアに比べると,全般に新鮮で亀裂が少なく,破砕度が低い.

4.82〜5.40m間は風化が進み,角礫状に破砕されているが,亀裂は密着している.やや軟化しており,指で容易にくずれる.

5.40m以深は全般に新鮮で硬質である.5.40m〜7.40m間は特に新鮮で,亀裂は少なく,コアは10〜64cmの棒状コア主体となる.亀裂の傾斜は約45゜である.7.40〜10.18m間は,上位に比べて亀裂が発達しており,角礫状〜短柱状(10〜13cm)を示す.亀裂の傾斜は,40〜50゜のものが多い.10.18m以深も,亀裂が少なく,短柱状〜棒状(10〜25cm)のコアとなる.亀裂の傾斜は,約45゜である.

A凝灰岩

BE−1のみ分布する.深度8.25〜10.83mの明緑灰色の凝灰岩にも,亀裂が発達しており,全般に軟質化しているが,上位の黒色泥岩と比べると,全般に破砕度が低い.黒色泥岩を9.42〜9.66m間と10.30〜10.35m間,10.50〜10.58m間に挟む.

8.25mに見られる上位の泥岩との境界は不明瞭で,泥岩と凝灰岩が入り混じった状態である.8.62〜8.87m間は破砕が進む(径5〜20mm).9.00〜9.42m間は角礫化しており,岩片の間の粘土が流出している.9.42〜9.66m間に挟在する泥岩は,上位の凝灰岩との境界は粘土状に,下位の凝灰岩との境界は明瞭で,泥岩と凝灰岩が密着している.9.66〜10.30m間の凝灰岩は,短柱状コア(3〜8cm)が主体で,約50゜の層理面が認められる.10.30〜10.35m間に挟在する薄い泥岩は角礫化(径5〜50mm)が進行しており,破砕度が高い.10.35〜10.50m間の凝灰岩も角礫化(径30〜50mm)している.10.50〜10.58m間に挟在する薄い泥岩も角礫化(径5〜30mm)が進行している.各層の上下の境界はともに密着しており,傾斜約45〜50゜である.10.58〜10.83m間は棒状コア(10cm)を主体とし,10.83mの下位の泥岩との境界は明瞭で,傾斜65〜70゜の亀裂で接し,亀裂間は砂状である.

なお,被覆層である砂礫層のボーリングコアは全般に粗粒で,14C年代測定用試料をはじめ,花粉分析用試料や火山灰分析用試料は採取できなかった.

ボーリング調査結果をまとめた地質断面図を図3−1−5に,地表地質踏査(精査)結果の平面図とボーリング調査結果の断面図を合わせて,延興寺地区の小田川河畔の地質概念図を図3−1−6に示す.

図3−1−5 地質断面図

図3−1−6 延興寺地区地質概念図