地形的に主断層が通ると推定されていた湿原とその西側を区切る丘陵の境界付近で,推定断層を挟むようにボーリング調査を6本を実施した結果,西端のBS−1とそのすぐ東側のBS−6との16mの区間内で基盤岩上面に5m程度の落差があり,被覆層の分布,層相が大きく変化することが明らかになった.これらの変化は,断層による西上がりの変位を示す可能性があり,地形からみた栃本南方断層の位置,変位様式とも調和的である.
被覆層の層相の変化からは,下流部で河川をせき止めるような大きな環境変遷が推定されたが,各層に含まれる炭化物について年代測定を行った結果,この時期は約1,800年〜約9,600年前の間であることが明らかになった.環境変化は栃本南方断層の活動に伴う可能性があるが,今回の調査では断定しきれなかった.