5 詳細調査候補地の選定及び調査方針

本調査により,更に詳細調査が必要であると判断された重要性の高いリニアメントは,L−1(雨滝−釜戸断層)及びL−3(栃本南方断層)である.この2本のリニアメント沿いまたはその延長線上において,断層の性状や諸元(活動性・単位変位量・最新活動時期・活動の再来間隔)を明らかにする目的に適していると判断される地区を,詳細調査の候補地として選定した.

選定した候補地は以下に示す5地区で,候補地ごとに調査目的と調査項目を述べる.

(1)地区@ : 雨滝−釜戸断層北西延長線上の砂丘付近

正断層であるが,倉吉軽石層(DKP,約5万年前)を変位させる断層(f−12)が存在することから,本断層の延長が砂丘(海洋)まで延びているか否かの確認及び地下構造を把握することを目的として,浅層反射法地震探査を計画する.

(2)地区A : 雨滝−釜戸断層北部の蔵見付近

本地区は南部地域とは異って,断層変位地形及び本体断層の露頭が認められない地域である.したがって,より断層の性状を把握するとともにその諸元を明らかにすることを目的として,ボ−リング調査,トレンチ調査及び年代測定・諸分析を計画する.

(3)地区B : 雨滝−釜戸断層南部の延興寺付近

本地区は,断層変位地形及び第四紀層(段丘堆積物)を変位させている可能性がある断層露頭(f−15)が認められる地域である.今回の調査で,活断層であることがほぼ確実となった.したがって,その諸元を明らかにすることを目的として,地質精査,ボ−リング調査,トレンチ調査及び年代測定・諸分析を計画する.

(4)地区C : 雨滝−釜戸断層南部の大坂付近

本地区は,断層変位地形及び第四紀層(段丘堆積物及びテフラなど)を変位させている断層露頭(f−16〜18)が認められる地域である.今回の調査で,活断層であることがほぼ確実となった.したがって,その諸元を明らかにすることを目的として,地質精査,露頭精査,ボ−リング調査,トレンチ調査及び年代測定・諸分析を計画する.

(5)地区D : 栃本南方断層中央部の菅野付近

本地区は,第四紀層(更新世中期以前の扇ノ山起源の溶岩)が変位を受けている可能性がある地域である.今回の調査で,活断層であることがほぼ確実となった.したがって,その諸元を明らかにすることを目的として,湿地におけるボ−リング調査,トレンチ調査及び年代測定・諸分析を計画する.

詳細調査計画図を図5−1−1図5−1−2に,地区別調査計画図を図5−2−1図5−2−2図5−2−3図5−2−4図5−2−5に示す.

なお,トレンチ調査は,ボ−リング調査などの結果を踏まえ有望かつ用地面で実施可能な地点で行うものとする.

図5−1−1 詳細調査計画図(1)

図5−1−2 詳細調査計画図(2)

図5−2−1 地区別調査計画図(1)

図5−2−2 地区別調査計画図(2)

図5−2−3 地区別調査計画図(3)

図5−2−4 地区別調査計画図(4)

図5−2−5 地区別調査計画図(5)