3−3−3 L−3(栃本南方断層)

リニアメントが通過する山頂緩斜面は,扇ノ山火山起源の安山岩質溶岩からなる溶岩台地である.この扇ノ山安山岩類は,主に暗灰色の泥岩からなる普含寺泥岩層を不整合に覆っている.普含寺泥岩層中の構造は一定しておらず,走向はまちまちで,傾斜は10〜25°程度である.また,扇ノ山安山岩類を覆って,大山火山起源の降下火山灰層が分布している.

リニアメントの直近で,断層露頭を1ヶ所(f−6)確認した.この断層は降下火山灰層に変位を与えているが,本体断層ではないと推定される.また,リニアメントを挟んで約20mの標高差を持つ山頂緩斜面は,いずれも更新世中期以前(約70万年前以前)の扇ノ山火山岩類で構成されており,この標高差は断層変位(西側隆起)により生じた可能性が高いと考えられる.