(1)地形分類

調査地域は,行政界では鳥取市,岩美郡福部村,同岩美町及び国府町にまたがる地域である.

調査地域の地形は,大まかには山地,変形地,段丘(台地),山麓堆積地形及び低地に分類される.

@ 山地

山地は,面積的には調査地域の大半を占める.山地の標高は,調査地域東南部の1,000mを越える地域を除くと,雨滝北西の大茅山(664.1m)が最高点である.大茅山から南西〜西方に延びる稜線沿いやそれ以南の山地(特に国府町菅野付近)は,山頂部に広い山頂緩斜面が残存しているのが特徴である.一方前記の稜線以北の山地は,標高200〜600mの小起伏山地である.

A 変形地

変形地としては地すべり地形が特徴的で,国府町楠城・栃本・大石・下木原付近及び福部村清内谷付近に規模の大きいものが認められる.地すべり地形の多くは,山頂緩斜面縁辺の遷急線直下に形成されているのが特徴である.

B 段丘(台地)

段丘(台地)は,D低地で記述する河川によって形成された河岸段丘(一部開析扇状地を含む)であるが,その分布は狭長かつ断片的である.

C 山麓堆積地形

山麓堆積地形の顕著なものは,崖錐及び沖積錐であるが,特に塩川及び箭渓川流域に発達する沖積錐が特徴的である.

D 低地

山地を開析する水系は,一級河川千代川水系天神川及び支川,二級河川塩見川水系塩見川・箭渓川及び支川,二級河川蒲生川水系蒲生川・小田川及び支川,一級河川千代川水系袋川・上地川・大石川及び支川からなる.千代川水系河川は,主に西流によって山地を開析し,それ以外の河川は,主として北流によって山地を開析し,直接日本海にそそぐ.

低地は,これらの河川によって形成された氾濫原・谷底平野として山間に狭長に分布する.