1−2 調査の目的

鳥取県では、阪神淡路大震災を教訓に,平成8年3月に鳥取県地域防災計画を修正し,県東部から中部地域に至る地下断層(長さ50q・幅13q)を想定地震(第2鳥取地震)断層とし,マグニチュード7.2の地震規模による被害想定を行っている(図1−1).

想定地震(第2鳥取地震)断層は,1943年(昭和18年)9月10日の鳥取地震によって動いた吉岡地震断層・確実度Tの鹿野断層(鹿野地震断層),確実度Tの岩坪断層及び確実度Uの雨滝−釜戸断層系※などによって構成される(図1−1図1−3表1−1).

前2者の諸断層については,文献やトレンチ調査によって,その性状はある程度解明されているが,雨滝−釜戸断層については,活断層研究会(1991)によって認定された以外は文献もなく活動度も不明である.

雨滝−釜戸断層は,鳥取市中心部の近郊にあって長さが約13qと最も長い.周辺には,栃本南方断層(確実度U)や活断層の疑いのあるリニアメント(確実度V)が分布する.これらの断層の走向は,鳥取地震断層のそれとは異なる.

また,京都大学防災研究所鳥取観測所の微小地震分布によると,雨滝−釜戸断層の線上で微小地震が観測されている(図1−2).

これらのことを鑑みると,雨滝−釜戸断層系は,想定地震(第2鳥取地震)断層のなかで,その性状を早急に解明しなければならない断層系である.

よって,本調査は,鳥取県東部に位置する活断層「雨滝−釜戸断層系」の性状を解明し,防災情報データベースとして整備するとともに,新たな被害想定を行うなど,地震防災対策のより一層の充実・強化を図ることを目的として実施するものである.

※ 活断層研究会(1991)による雨滝−釜戸断層・栃本南方断層(確実度U)及び同走向の活断層の疑いのあるリニアメント(確実度V)を,「雨滝−釜戸断層系」と呼ぶ.

図1−1 鳥取県地域防災計画における想定地震(第2鳥取地震)断層

<鳥取県地域防災計画(震災対策編)より>

図1−2 鳥取県の微小地震分布(M1以上)と活断層分布図

(京都大学防災研究所鳥取観測所資料より)

図1−3 鳥取県東部地域の活断層分布図(「新編」日本の活断層より)

          

表1−1 鳥取県東部地域の活断層の諸元一覧表(「新編」日本の活断層より)