(3)谷保地区ボーリング調査結果からの解釈

現状でのボーリングコア観察結果からの谷保地区での解釈は次の通りである。

@ 平成10年度の地質断面図に今回のボーリング資料をあてはめると(図2−2−4−1参照)、断層をはさんで上盤側のB−1孔での青柳礫層に対比した地層の上面深度と標高は、コア観察結果から、深度1.09m(標高69.22m)である。下盤側でのB−2孔およびB−3孔では、同じくそれぞれ深度1.42m(標高67.12m)、深度1.00m(標高67.38m)であり、上盤側(B−1孔)との礫層上面標高の差は、B−2孔で2.1m、B−3孔で1.84mである。各ボーリング地点の地表標高は、人工改変の影響もあり、標高差1.77m〜1.93mで、礫層上面の差と、ほとんど変化はない。

青柳礫層の下面の深度および標高は、B−1孔で、4.53m(標高65.78m)、B−2孔で4.40m(標高64.14m)およびB−3孔で3.56m(標高:64.82m)である。B−1孔と下盤側の2本との標高差は、B−2孔とは、1.64m、B−3孔で0.96mである。各孔での礫層層厚は、B−1孔で3.44m、B−2孔で2.98m、B−3孔で2.56mであった。

以上の結果は下記の表2−2−4−5にまとめた。

表2−2−4−5 各孔での青柳礫層の標高比較

このように上盤側と下盤側を比較した場合、青柳礫層の上面標高の差が、下面より大きく、また下盤側の方が上盤側に比べ礫層の層厚が薄いのは、下盤側の礫層上面が浸食をうけたと考えられる。さらにB−1孔とB−3孔の青柳礫層下面では、標高の差が0.96mと他とくらべて小さく、レーダー探査等の結果からみてもB−3孔周辺の青柳礫層が上昇し、礫層の高まりが形成されていることと関係している。また礫層が上昇し青柳礫層上面が浸食され、B−3孔の青柳礫層層厚も薄くなった可能性が高い(図2−2−4−2)。

A 地質断面図に示すように、上総層群の岩相は、断層をはさんだ上盤側のB−1孔では、青柳礫層の下位には砂層のみが分布しており、下盤側ではB−2、B−3孔ともに青柳礫層の下位に粘土・シルト層が分布し、その下位に砂層が分布する。B−1孔に粘土層が分布していないので、B−1孔側(上盤側が)の粘土層が削られたと推定できる。ボーリング結果から上総層群のシルト層、砂層はB−2孔およびB−3孔で傾斜20°〜80°の傾いた構造を呈しており、断層活動の影響も考えられる。

B 後述するトレンチでの観察結果も考慮して作成した地質断面図(図2−2−4−2参照)から、B−2及びB−3孔を比べてみると、南側に向かうにつれて青柳礫層の上面標高が上がっており、B−3孔周辺では、地下レーダーのコンター図からも青柳礫層の上面ぼ高まりが認められる。青柳礫層の下面もB−2孔と比べたばあい、B−3孔で70cmほど標高が高く、上面と調和した形態である。この高まりの地形のため青柳礫層を覆う河川堆積物がB−3孔周辺よりも南側では分布していない。青柳礫層の高まりの地形は礫層下面も上面に調和しており、これらの礫層の構造は単に東西方向のチャネルの存在で形成されただけでなく、断層活動に伴う変形構造の可能性もありうる。