(1)国立市谷保地区

谷保地区の調査地は、ほとんど平坦な箇所にあたり、ここでは地表からの深度で示す。ただし、図面に関しては、測量時の標高を使用し、標高で表した。

当地区における礫層上面の分布は、解析結果から全体的には深度0.9〜1.3mで検出される。礫層上面が深度を増して、急な変化が認められる区域は、探査地北側〜東側では道路に沿った形状で深度1.9〜2.6mで検出される。

また、SEゾーン中央東側端では、深度1.7mとなっている。さらに、SEゾーン 南東端角では、深度1.9mまで深度を増しで急傾斜を形成している。

反対に深度が浅くなる範囲は、本探査後実施したボーリング(B−3)付近を中心にして直径8m程度の円形状の箇所で、深度0.6〜0.9mに礫層上面が観測された。いずれにしても立川断層の走向方向に平行する方向(北西〜南東)には、探査した範囲では、とくに南から北にかけて、青柳礫層の上面は、凹凸状を示す(SE−L測線)。これは西から東にかけて河道が流下した形跡を表していることも考えられる。またトレンチを実施した箇所では、断層の走向に対してほぼ直交する方向で断層を挟んで礫層の反射面と思われる凹凸が確認できる(NE−S測線)。これはトレンチでチャネルの存在として確認された。断層に近い箇所ではレーダー断面図の深度の深いところにみられる礫層の反射面が凹状変形しており、断層活動に伴う地層の変形の可能性もある。

探査測線の中央部から西側の現在の矢川方向に向かっては、青柳礫層上面標高は、ほとんど平坦になり、レーダー探査からは青柳礫層の堆積面を確認している可能性がある。メッシュ状の探査測線からほぼ西側にのびるように測線を何本か設定した。その結果は、基線(SE−L−1測線)からのSW−S−35測線の15m〜27mの間、SW−S−18測線の26m〜38mの間、SW−S−8測線の32m以西、およびNW−S−1測線の32m以西で位置で礫層の深度が増加して深度1.4〜1.6mの凹状地形をなす。溝状として連続的な凹地形を示すことから青柳礫層上面を河刻した旧河道の可能性もある。ただし、標高が、南側より北側に低くなっており、河道での水の滞留もしくは逆流があったことが考えられる。

道路部では断層を横切るように東西方向に探査を実施した。探査結果は、地下埋設物等の影響が大きく、また道路沿いの畑地で距離10.8m〜12.5m間が畦道となっており、地表変化の影響が大きく、鮮明な画像記録が得られなかった。

ただし、畑地での解析の結果、測線中央部(断層推定位置の真下)で深度2.1〜2.4mと深い位置で凹状の反射面が検出されるところがあり、地層の変形を反映している可能性がある。凹状の反射面は、トレンチ側のものとあわせると、大きく2箇所認められる。