(2)平成10年度調査
霞川調整池でのトレンチ観察を今回実施した。位置的には平成9年度調査地の下流側約300m程度にあたる。トレンチ掘削の結果、砂礫層とその上位に細粒砂〜シルト層が確認され、その年代は概ね3,320±70yBP〜3,680±70yBPである。平成9年度では、立川断層の上流側で立川断層の活動と古霞湖の決壊による埋没谷の発達が示唆されたが、平成10年度での下流側のトレンチ観察で、下流側がたえず浸食される環境にあるため、上流側で確認された10,000年前後の堆積物は確認されず、しかも細粒砂等の堆積物の層厚もさほど厚くないことが確認され、平成9年度の推定と概ね合致する結果となった。断層活動を示す証拠は、上述の細粒砂〜シルト層中に液状化の跡と推定される形跡が確認され、少なくとも3,320±70yBP〜3,680±70yBPから歴史時代までの間に液状化を起こすような地震活動が推定される。この年代は平成9年度にこの地域で確認した最新活動時期にあたる可能性がある。