(2)浅層ボーリング

(1) 瑞穂町箱根ヶ崎地区

今回のボーリング調査の目的は、平成9年度調査で推定した旧「狭山ヶ池」の範囲を確定することと、池の堆積物を確認し、湖沼堆積物中での地震に伴うイベント層準をソフトX線分析で明らかにすることである。

ボーリング地点は、前述した図2−1−1−3の調査位置図に示した。

1) ボーリング結果

各ボーリング孔で採取した地質の特徴的な事項について説明するとともに、地層対比を行い、地質断面図を作成し図2−1−4−20に示した。またコア写真を添付した。各地点のボーリング結果による地質状況は次の通りである。各孔はそれぞれ平成9年度の結果を考慮し深度6mを掘削した。

@ 箱根ヶ崎B−1孔

上位から地層の特徴を説明すると以下の通りである。

◎深度0.00〜2.1m:地質;表土および盛土層

池の改修に伴い、池の周辺に人口改変堆積物を埋めており、礫混じりの粘土 からなる。礫はφ1〜2cmの円〜亜円礫である。

◎深度2.1m〜3.1m:地質;粘土層・砂質シルト層−−沖積層

青灰色の砂混じり粘土。全体に塊状で繊維状の植物片をごく少量含む。

青灰色の細粒砂を含む砂質シルト層。

◎深度3.1m〜5.75m:地質;粘土混じり砂礫層−−これより立川礫層

φ0.2cm〜10cmの円〜亜角礫が混入する青灰色の砂礫層で、礫種は大部分が 砂岩で、一部にチャートと緑色岩が入る。基質は砂混じりの粘土〜砂質粘土 である。

◎深度5.75m〜6.0m:地質;砂質シルト層−−立川礫層に挟在するシルト層

全体に少量の細礫〜粗粒砂を含む緑灰〜淡褐色の砂質シルト層。

A 箱根ヶ崎B−2孔

上位から地層の特徴を説明すると以下の通りである。

◎深度0.0m〜1.70m:地質;ローム層(0.5m表土)

黄褐色〜淡褐色の凝灰質粘土層(風化火山灰層)。

◎深度1.70m〜5.75m:地質;砂礫層

褐灰色〜褐色の砂礫層。φ2〜3cmの礫で、最大5cm程度の円礫を含む。礫種は砂岩が多く、一部泥岩を含む。深度3.9m以深はやや褐色を呈する。深度2.4m〜2.55m間はシルト質中粒砂層である。

◎深度5.75m〜6.0m:地質;礫混じり粘土層

φ2〜3mmの円〜亜角礫を少し含む。一部にφ3cmの亜円礫が混入する。礫種は泥岩が主体で、一部砂岩が含まれる。基質は細粒砂混じり粘土からなる。

B 箱根ヶ崎B−3孔

平成9年度の97−10ボーリングと同じ位置で、軟X線分析のために再度サンプリングを行った。

◎深度0.0m〜0.75m:地質;盛土

礫混じりシルト。

◎0.75m〜1.9m:地質;腐植質粘土層−−沖積層

平成9年度での記載はピート層の箇所である。放射性年代値は1,650年±50程度である。色調は黒褐色〜暗褐色の腐植土層。

◎1.9m〜5.67m:地質;粘土層−−沖積層

平成9年度では、平行ラミナの発達する粘土層。

◎5.67m〜6.0m:地質;砂礫層−−これより立川断層

最大10cmの円礫を多量に含む。礫種はほとんど砂岩からなり、一部にチャートが含まれる。基質はシルト質細粒砂。

ボーリング結果からは、湖沼堆積物と思われる沖積層は、B−1孔とB−2孔の間で、ほぼ消滅しており、西側への湖沼堆積物の広がりはさほど明確ではないことが判明した(図2−1−4−20参照)。

2) 軟X線分析結果

細粒堆積物の識別のために、今回は堆積構造観察のための軟X線写真撮影分析、火山灰層などのイベント検出のための初磁化率(帯磁率)、およびローム・土壌シークエンスの認定のための分光反射率測定を行った。

@ 分析方法と内容

イ)軟X線写真撮影・観察

肉眼では識別できない堆積物の微細内部構造を明らかにするために、軟X線写真撮影装置(SOFTEX−60)で堆積物の軟X線写真を撮影して観察する。

軟X線には堆積物の密度が大きいほど透過しにくい性質があることから、堆積物のわずかな密度差が透過率の変化となってあらわれる(斉藤,1993)。軟X線写真を用いて堆積構造の解析を行うと、ウェーブリップルや潮汐堆積物も検出することができ(井内ほか,1983;池原,1989)、現時でも堆積相の記載に用いられている。

軟X線写真撮影用試料の採取は、有田(1983)によって開発された内径25×5×1cmのアクリルケースで行う。軟X線用フィルムが入れられたフィルムカセット上にアクリルケースに入れた試料を並べ密着撮影する。軟X線の照射条件は、堆積物中の含水率や粒径などによって異なるが、一般的な汽水湖底堆積物の場合には、40kVp、3mAで4分程度の照射時間である。

軟X線写真の観察からは、汽水湖底堆積物中に認められるタービダイトなどの堆積異常層や薄い火山灰層などが検出できる。

ロ)分光測色分析

分光測色計(ミノルタ社製CM508i)を用いて、堆積物の明度・彩度を測定する。従来、堆積物の色調の変化は肉眼観察によって把握されていて、色調を定量的に表現することが困難であった。しかし近年、分光測色計が地球化学の分野に導入され、色の数値化が行われるようになってきている(黒木,1996))。

分光測色計は、可視光の反射スペクトルを等色関数で波長分解することで色の値がえられる。等色関数とは人間の目に対応する分光感度のことである。色調はL*a*b*表色系で表現される。L*は明度を示し00(黒)〜100(白)の数値で表現する。またa*はマイナスからプラスにかわるにつれて緑色から赤色へ、b*はマイナスからプラスにかわるにつれて青色から黄色へ、それぞれ絶対値がおおきくなると彩度が増すことを意味する。

測定は、分光測色計のふたの内側に校正用の白色板(硫酸バリウム板)が付属しており、これで試料の測定の前に必ず白色校正を行う。その後、半分割りのコアにサランラップをかぶせて、上位より1cmごとに行う。測定条件は、照明受光光学系:D/8(核酸照明・8°方向受光)、SCI(正反射光込み方式)、測定波長範囲:400〜700nm、測定波長間隔:20nm、反射率測定範囲:0〜175%、測定用高原:C(パルスキセノンランプ)、測定時間:3秒、照明径/測定径:半径11mm/8mm、観察条件:2°視野である。

最近の研究から、L*値と堆積物中の有機物の含有量にはよい相関があることが、a*値とb*値は堆積物中の鉄とマンガンの含有量とよい正の相関関係があることが明らかにされている(中島,1994;黒木,1996)。したがって、測定結果から、汽水湖底堆積物中の有機物や鉄およびマンガンの含有量を推定することができる。また、このほかに砕屑物量の変動やテフラ層準の認定も明らかにすることができる(池田ほか,1997)。

ハ)初磁化率の測定

初磁化率計(Bartington MS2, Sensor type B)を用いて堆積物の磁気特性や火山灰層の有無を明らかにするため初磁化率(帯磁率)を測定する。

初磁化率は、印加磁場により、誘導される磁化の係数として表され、強磁性鉱物の種類や量および粒径を反映している(福間・鳥居,1998)。従来、初磁化率は岩石磁気学の研究分野で使われていたが。しかし、Heller and Liu(1984)は、中国のレス古土壌堆積物の初磁化率を測定し、初磁化率の変動が深海底堆積物の酸素同位体比変動曲線と同調することをはじめて報告した。その後非破壊方式による測定装置の開発とポリカーポネートキュービックによる試料採取の確立によって、初磁化率は堆積物研究に広く浸透した。近年では陸上堆積物だけでなく、海洋堆積物(Beget rt al,1990)や湖底堆積物(竹村ほか,1996)で、初磁化率が環境解析の一指標として一般的に広く測定されるようになっている。

初磁化率の測定には、Bartington Instruments Ltd.製初磁化率計Model MS−2、検出器は、同社製、36mm Internal diameter Model MS−2Bを使用する。測定器の印加交流磁場は、80A/m(地球磁場の約2倍)、交流磁場の周波数は465HZ、測定分解能は2×10−6SIである。検出器のなかには測定試料をキュービックごと入れる非破壊式で測定を行い、同一サンプルを3回測定し、その値の平均値を湿潤重量で割って規格化した値を初磁化率とした。また、補正は5試料おきに標準試料を測定することで行う。

湖底堆積物中の初磁化率は、主に磁性鉱物量を推定するという目的で測定される。とくに火山灰層中には、火山ガラスともに多くの磁性鉱物が堆積しているため、肉眼では火山灰層を検出できない場合においても微量な磁性鉱物の存在により、その層準が初磁化率のピークとなってあらわれる。

A 測定結果

浅層ボーリングは、B−1〜B−3孔の3本を行い、そのうち、もっとも長いB−3孔で、肉眼による観察と軟X線写真の観察では、概ね6層に分けられる。この6層は、下位より上方細粒化の堆積構造を示す中粒砂〜細粒砂からなるF層、1枚のスコリアの薄層を挟む塊状泥からなるE層、酸化鉄が濃集し、細礫を含む塊状泥からなるD層、細礫を含む中粒砂からなるC層、古土壌からなるB層およびローム層(この層は二次堆積物?)からなるA層である。

また、初磁化率と分光測色分析によれば、深度1.3mには、軽石?層が、深度4.34mにはスコリア層が認められた。またD層は、酸化鉄が溶出して水酸化鉄が沈殿濃集しているため、赤褐色へ色が変質している。D層が変質した理由は、直上にある中粒砂からなるC層中の間隙水から鉄が溶出したためである。それは、鉄の濃集を示すa*の値が下位に向かって次第に少なくなることからもC層からの地下水の浸透が原因と考えられる。

ボーリング試料3本の上部はいずれも耕作土壌あるいは表土が認められる。これらの耕作土壌と表土は初磁化率が極めて大きな値を、L*がきわめて小さな値を示すことが特徴である。これらの耕作土壌と表土の堆積学的特徴はB−2孔の上部(深度0.62m以浅)で示される。

B−3孔での古土壌から構成されるB層は分光測色データと初磁化率変化から、深度1.62m付近を境界として上部(B1)と下部(B2)に2分される。下部に比べ上部の古土壌は初磁化率が高い値を示し、L*が小さい値を示しており、土壌化がより進行している。土壌化の進行は、湖沼の干上がり等を示しており、干上がる環境の変化に対応していると思われる。この深度の地質年代は、平成9年度の結果では、1,650±50yBPの年代が得られている。

B−3孔とB−1孔とは、B−3孔のE層とB−1孔の泥層が対比される。

各ボーリングの分光反射率と初磁化率の図をそれぞれ図2−1−4−21−1図2−1−4−21−2に示した。またB−3孔では、図2−1−4−22にまとめたものを示した。

軟X線の画像は、巻末試料に添付したが、B−3孔では、深度4m付近でタービダイト様の堆積物がみられる。またより深度の深い位置では、火山灰層が挟在するのが確認できた。ちなみにタービダイト堆積物の年代は、平成9年度試料からは、17,250±70yBPの年代が得られている。

3) 露頭観察

今回の調査地周辺で地層の露頭観察を行った。それらは、図2−1−4−23−1図2−1−4−23−2図2−1−4−23−3図2−1−4−23−4に示した。この露頭は、狭山丘陵に分布する仏子層に相当する地層であるが、2カ所の露頭のうち、断層に近接する箇所の仏子層の走向傾斜は、N40°E,60°程度の西傾斜である。一般的にこのあたりの仏子層の地質構造は、緩やかな東傾斜、あるいは狭山丘陵での露頭のように水平であることが多い。このことから立川断層の活動による直接の影響が現れている可能性がある。

図2−1−4−22 B−3孔における分光反射率と初磁化率

(2)国立市谷保地区

ここでの浅層ボーリング調査は、青柳面での堆積物の層相と地質年代の確認と立川断層を挟んで隆起側と沈降側の堆積物の相違を確認すること、ならびに青柳面を構成する青柳礫層の上面標高の変化をとらえることを主な目的で実施した。

ボーリング地点の位置は、前述の図2−1−1−4図2−1−1−5図2−1−1−6に調査位置図を示した。

谷保地区は、立川面と青柳面からなり、そのうち青柳面は今から約14,000年前に形成された段丘面とされている(図2−1−4−24)。これらの面を構成する堆積物はともに多摩川の氾濫源堆積物からなる。現在、矢川は立川断層に沿って青柳面を横断するように流下している。これは、立川断層の活動によって従来の流路が強制的に変えられたと考えられる。つまり、はじめは、矢川は立川面と青柳面との境界を流下していたが、立川断層の活動後、立川断層に沿い流下をはじめたと考えられる。

矢川が、立川断層活動により、流路を変化させると、矢川沿いでは、上流域から下流域(過去の矢川の流路と推定される地域)で、堆積物に違いが認められる可能性がある。このため、平成10年度では、浅層ボーリングは、矢川の上流域(矢川源流)、現在の矢川沿いで立川断層周辺域、および現在は矢川が流下していないが過去には流下していたと思われる下流域に調査地点を配置した。すなわち地域としては、立川断層の西側でその活動の影響を受けていないと思われる「矢川緑地」付近、立川断層の活動の影響をうけ、矢川の流路沿いに新しい堆積物が分布するとおもわれる「矢川地区」、さらに断層活動以前の堆積物の分布が予想される「旧矢川地区」の3地域で通常のボーリング機械よりも、より機動性のある方法で浅層ボーリングを実施した。

1) ボーリング結果

各ボーリング孔で採取した地質の特徴的な事項について説明するとともに、コア写真および地質柱状図を添付した。各地点のボーリング結果による地質状況は次の通りである。

@ 矢川緑地地区

調査点数は8点であり、深度は0.6m〜1.3mであり、礫質な堆積物を確認して掘留めとした。

◎Yr−1孔:0.0m〜0.6m;礫混じり砂質粘性土層(0.2mは表土)

◎Yr−2孔:0.0m〜0.58m:有機質シルト層(0.2mは表土)

      0.58m〜0.7m:砂・礫混じり有機質シルト層

◎Yr−3孔:0.0m〜0.7m:暗褐色風化火山灰質土層(0.28mは表土)

      0.7m〜0.9m:黒褐色風化火山灰質土層

      0.9m〜1.1m:小礫、砂混じり風化火山灰層

◎Yr−4孔:0.0m〜0.5m:暗褐色砂質シルト層(0.3mは表土)

      0.5m〜0.9m:黒褐色風化火山灰質シルト層

◎Yr−5孔:0.0m〜0.5m:暗褐色風化火山灰質シルト層(0.3mは表土)

      0.5m〜0.6m:黒褐色風化火山灰質シルト層

      0.6m〜0.7m:礫混じり風化火山灰質シルト層

◎Yr−6孔:0.0m〜0.65m:暗褐色〜黒褐色風化火山媒質シルト層(0.3mは表土)

      0.65m〜0.85m:黒褐色礫混じり風化火山灰質シルト層

◎Yr−7孔:0.0m〜0.6m:暗褐色〜黒褐色砂混じり風化火山灰質シルト層(表土は0.25m)

◎Yr−8孔:0.0m〜0.55m:暗褐色砂混じり風化火山灰質シルト層(0.35mは表土)

      0.55m〜0.82m:黒褐色風化火山灰質シルト層

      0.82m〜1.13m:暗褐色礫混じりシルト質砂層

      1.13m〜1.30m:暗灰色礫・砂混じり粘性土層

A 矢川地区

調査地点は、調査位置図に示したように、変位地形の明瞭な立川断層の隆起側で8本、沈降側で9本の合計17本を簡易ボーリング(ジオプローブ)で実施した。各ボーリング結果については巻末にボーリング柱状図および図2−1−4−25図2−1−4−26の模式柱状図にまとめた。

立川断層の隆起側でのボーリング地点は、Ya−G−1、Ya−G−5、Ya−G−6、Ya−G−9、Ya−G−13、Ya−G−13'〜15、であり、それらの代表的な地質柱状図は、次の通りである。

◎表土・耕作土:

Ya−G−1(深度:0.0〜0.7m)、Ya−G−5(深度:0.0〜0.45m)

Ya−G−6(深度:0.0〜0.5m)、Ya−G−9(深度:0.0〜0.5m)

Ya−G−13(深度:0.0〜0.4m)、Ya−G−13'(深度:0.0〜0.38m)

Ya−G−14(深度:0.0〜0.9m)、Ya−G−15(深度:0.0〜1.0m)

深度0.0m〜最小深度0.38m・最大深度1.0mの黒褐色の草根混入の表土で、下部は耕作土である。

◎ローム層:

Ya−G−1(深度:0.7〜1.75m)、Ya−G−5(深度:0.45〜1.25m)

Ya−G−6(深度:0.5〜1.0m)、Ya−G−9(深度:0.5〜0.9m)

Ya−G−13(深度:0.4〜1.8m)、Ya−G−13'(深度:0.38〜1.5m)

Ya−G−14(深度:0.9〜1.5m)、Ya−G−15(深度:1.0〜2.4m)

黒雲母、ガラス片、軽石、赤褐色のスコリア等が混入するローム層。一部には礫等も混入しており、φ1〜3cm程度の砂岩等である。いわゆる青柳ローム層である。

◎火山灰質細粒砂〜中粒砂:

Ya−G−5(深度:1.25〜2.0m)

Ya−G−6(深度:1.0〜1.8m)、Ya−G−9(深度:0.9〜1.9m)

Y−G−13(深度:1.8〜1.9m)、Ya−G−13'(深度:1.5〜1.75m)

Ya−G−14(深度:1.5〜1.7m)、Ya−G−15(深度:2.4〜2.8m)

いわゆるフラッドロームの堆積物。火山灰質で黒雲母、軽石混入する。一部に小礫混じる。

◎砂礫:

各孔で確認する。いわゆる青柳礫層。礫径はφ1〜3cm程度、礫種はチャート、砂岩等。基質は粗粒砂である。

立川断層の沈降側でのボーリング地点は、Ya−G−2〜4’、Ya−G−7、Ya−G−10、Ya−G−11〜12であり、それらの代表的な地質柱状図は、次の通りである。

◎表土・耕作土:

Ya−G−2(深度:0.0〜0.2m)、Ya−G−3(深度:0.0〜0.2m)

Ya−G−4(深度:0.0〜0.2m)、Ya−G−4’(深度:0.0〜0.2m)、Ya−G−7(深度:0.0〜0.5m)、Ya−G−8(深度:0.0〜0.6m)、Ya−G−10(深度:0.0〜0.51m)、Ya−G−11(深度:0.0〜0.6m)、Ya−G−12(深度:0.0〜0.6m)

深度0.0m〜最小深度0.2m・最大深度0.6mの黒褐色の草根混入の表土で、一部は表層に採石層がみられる。

◎黒ボク土:

Ya−G−2(深度:0.2〜1.2m)、Ya−G−3(深度:0.2〜0.8m)

Ya−G−4(深度:0.2〜0.9m)、Ya−G−4’(深度:0.2〜1.0m)、Ya−G−7(深度:0.5〜1.0m)、Ya−G−8(深度:0.6〜1.2m)、Ya−G−10(深度:0.51〜1.75m)、Ya−G−11(深度:0.6〜1.75m)、Ya−G−12(深度:0.6〜1.46m)

黒褐色の風化火山灰質土(黒ボク土)。スコリア、植物根等が混入する。

Ya−G−8のみは、矢川沿いの黒ボク土の堆積範囲を越えており、ローム層が分 布する。

◎火山灰質細粒砂〜中粒砂:

Ya−G−4’(深度:1.0〜1.7m)、Ya−G−7(深度:1.0〜1.65m)、Ya−G−8(深度:1.2〜1.45m)、Y−G−12(深度:1.46〜2.0m)

いわゆるフラッドロームの堆積物。分布する箇所と分布しない箇所がみられる。火山灰質で黄褐色を呈する。赤褐色の軽石が混入する。

◎砂礫:

各孔で確認する。いわゆる青柳礫層。礫径はφ1〜3cm程度、礫種はチャート、砂岩等。基質は粗粒砂である。

◎ボーリング結果では、立川断層を挟んで隆起側では、表土の下位にローム層が分布するが、沈降側では黒ボク土が分布しており、ローム層は削剥されている。黒ボク土の分布は、立川断層の変位地形の沈降側から現在の矢川付近まで認められ、それよりも南側では黒ボク土は分布せず、再びローム層が分布する。

◎青柳礫層の上面標高は、全体にでこぼこもみられるが、立川断層の変位地形をはさんで、隆起側と沈降側で1.6m〜2m程度の差違がみられる

(変位地形をはさんでの図2−1−4−27 地質断面図参照)。

B 旧矢川地区

調査地点は、調査位置図に示したように、3本の簡易ボーリング(ジオプローブ)で実施した。各ボーリング結果については巻末にボーリング柱状図をまとめた。

B−1 旧矢川−G−1孔

◎深度0.0〜1.2m:砕石および盛土

砕石は礫混じり粗粒砂。盛土は礫混じりの火山灰質砂。

◎深度1.2〜1.7m:風化火山灰質シルト層

いわゆる黒ボク土に近似する風化火山灰質シルトで一部にスコリアが混入す る。

◎深度1.7〜2.3m:ローム層

スコリアなどが混入するローム層。いわゆる青柳ローム層。

◎深度2.3〜2.9m:火山灰質中〜粗粒砂層

若干火山灰質であり、黒雲母が混入する砂層。全体にやや粗粒でり、下位の礫層と一連の堆積物の可能性ある。

◎深度2.9m以深:砂礫層

砂岩を主な礫種とする砂礫層。基質は粗粒砂。いわゆる青柳礫層。

B−2 旧矢川−G−2孔

◎深度0.0〜0.72m:盛土

砕石混じりの盛土。

◎深度0.72m〜1.27m:風化火山灰質シルト層

暗褐色のいわゆる黒ボク土層。 

◎深度1.27〜1.45m:ローム層

やや二次的なローム層、赤褐色の軽石が混入する。いわゆる青柳ローム層。

◎深度1.45〜1.95m:火山灰質中〜粗粒砂層

黄褐色〜褐灰色の火山灰質中〜粗粒砂。

◎深度1.95m以深:砂礫層

砂岩、チャート等の礫が混入する砂礫層。いわゆる青柳砂礫層。

B−3 旧矢川−G−3孔

◎深度0.0m〜1.8m:盛土

アスファルト混じり盛土。中〜粗粒砂の基質。

◎深度1.8m以深:砂礫層

砂岩、チャートの亜角〜亜円礫からなる砂礫層。基質は粗粒砂。

いわゆる青柳砂礫層。

2) 採取試料の分析結果

この地区では放射性年代測定を実施しており、その調査結果は表2−1−4−19にまとめた。この表での深度は、表層からの深度である。