1−3−1 青梅市藤橋地区

従来考えていた次のような断層が霞川を横断していることが確認された。明らかになった活動形態は、次の通りである。

幅100mの撓曲

平均変位速度  0.07m/1,000年

断層より上流側には時代の異なる深さ約1m程度の埋没谷が少なくとも4箇所確認された。この埋没谷の形成は、立川断層の活動および周辺の地盤の周期的変動と結びつけて考えることが可能である。それ以外の理由で生じた可能性が全くないとは言い切れないが、埋没谷の形成が周期的であることと、従来予想されていた断層の活動周期とほぼ一致していることから、断層活動と関連している可能性はかなり高いものと考えられる。

埋没谷の形成が立川断層の活動に伴うものとした場合、断層活動時期は埋没谷中の堆積物が急速に堆積し始めた年代と考えられる。この埋没谷を埋めている堆積物の堆積の年代は次のとおりであり、約3,000〜5,000年周期である。

埋没谷A  1,000 y.B.P〜1,100y.B.P.(AD885〜1,045)

埋没谷B  4,440 y.B.P〜6,860y.B.P.

埋没谷C  9,530 y.B.P〜9,600y.B.P.

埋没谷D 15,820 y.B.P〜18,860y.B.P.

最終活動時期は、暦年補正年代で西暦885〜1,045年頃で、これに近い歴史地震としては次のものがある。

表3−1 B.P.1,000年ごろの歴史地震(原典:新論日本被害地震総覧[増補改訂版416−1995])

ただし、9世紀後期以降、平安時代になると関東地方における歴史地震の記録は急に少なくなるので、記録にない地震が存在した可能性もある。

これらの検討結果が正しいとすれば、立川断層は最終活動以降、その活動周期の半分にも達しておらず、近い将来活動する可能性はほとんどないと結論される。