(1)地形解析

図2−10に、当地域の地形解析図を示す。ここでは、標高ごとに色を塗り分け、等高線を強調した。狭山ヶ池を中心として右下に狭山丘陵が張り出している。その北および西には、段丘面である青柳面(Tc3面)が分布しており、この面は一般的には西から東へ約1%程度の傾斜している。そのため図2−10の青柳面上の等高線は南北にのびるが、図中央部に、北西―南東方向に等高線が2〜3本直線上に並んでいる箇所がある。多少盛土の影響があるために部分的に直線的ではないが、それを除けばほぼ直線的に南西に傾斜した幅100m程度の斜面が延びており、これが立川断層の活動により生じた撓曲地形と考えられている。

また、図面のほぼ中央部の青く広い平坦面は、江戸時代初期に狭山ヶ池が作られる前の旧狭山ヶ池(筥の池「はこのいけ」)跡の低湿地だと考えられる。つまり、この低湿地は南を狭山丘陵の残丘に、北東を立川断層の撓曲でせき止められた一種の構造湖の跡で、現在の狭山ヶ池は低湿地の南端にある。南東の残堀川がこの低地からの流出河川であるが、残堀川は南の狭山丘陵の残丘を堀割って流れている。低湿地の土地利用を進めるために狭山ヶ池を掘り込み、その上で人工的に掘り割りを作り低湿地の水を残堀川に排水させたものである。したがって、改修以前の旧狭山ヶ池は、流入する河川も流出する河川もない閉鎖された構造湖であり、降水量の変化に伴ってその範囲を広げたり狭めたりしていたと考えられる。

図2−10 地形解析結果(瑞穂町箱根ヶ先地区)