(2)フィルター処理

<全体的な特徴>

・バンドパスフィルター処理及びAGC処理後の波形記録

これらフィルター処理により、表面波及び通過車両による低周波ノイズが軽減されている。起点〜受振点(杭番号に同じ)100では、1000msec程度まで反射波が見られるようになった。しかし、受振点100〜終点区間では、依然としてノイズや多重反射波が顕著に見られ、オリジナル記録に比べてあまり改善されていない。

・デコンボリューションフィルター処理後の波形記録

このフィルター処理により、多重反射波が軽減され、独立した反射波が抽出されている。起点〜受振点(杭番号に同じ)100では、独立した反射波が1000msec程度まで明瞭に見られる。全体的に多重反射波が軽減されており、特に受振点250〜終点区間でその効果がよく現れている。ただし、ポンプ場のモーターのノイズおよび水流のノイズは、依然として残っている。

<波形記録例>

図4−6−6−1図4−6−6−2図4−6−6−3図4−6−6−4に起振点1,20,50,82,146,191,235,289(起振位置の杭番号)の静補正およびバンドパスフィルター処理、AGC処理まで行った結果の波形記録例を示す。静補正の最終データムは、標高25mとした。バンドパスフィルターの通過周波数帯域は30〜100Hzとした。また、AGCのオペレータ長は400msecとした。これらのフィルター処理により、表面波及び通過車両による低周波ノイズが軽減されているが、本測線の探査は約2000m程度までの深部構造をターゲットとしたため、スイープ周波数を10〜120Hzに設定したので、バンドパスフィルターの効果はあまり現れていない。

図4−6−7−1図4−6−7−2図4−6−7−3図4−6−7−4にはデコンボリューションテスト波形記録例を示す。データのS/N比を考慮して、本測線の解析ではプレディクティブデコンボリューションを用いることにした。本テストにおいては、オペレータ長を40msec、60msec、80msec,120msecと変えて、それぞれの結果による波形記録を比較し、データのS/N比を調べた。ノイズは0.1%とした。この結果、オペレータ長80msec、予測長10msecが最適であると判断された。

図4−6−8−1図4−6−8−2図4−6−8−3図4−6−8−4にはデコンボリューション処理まで行った結果の波形記録例(起振点1,20,50,82,146,191,235,289)を示す。デコンボリューションには、パラメータテストで最適と判断したオペレータ長80msec、予測長10msecのプレディクティブデコンボリューションを用い、ノイズは0.1%とした。起振点1,20,50には独立した反射波が認められ、特に起振点20では800msec程度まで、起振点50では400msec程度まで有意な反射波が見られる。ただし、連続性はあまり良くない。起振点82の記録中には、水道管を伝わった波と川の堤防で反射してきた波が顕著に現れている。起振点146,191,235,289の記録は全体的にS/N比が悪く、反射波がほとんど見られない。オリジナル記録と比較すると、多重反射波が大きく軽減されているのがわかる。