・バンドパスフィルター処理及びAGC処理後の波形記録
これらフィルター処理により、表面波及び通過車両による低周波ノイズが軽減されている。この結果、オリジナル記録でははっきりしなかった反射波が明瞭となっている。起点〜受振点(杭番号に同じ)110までは、500msec程度まで反射波が明瞭に見られる。受振点110〜150では反射波があまり見られなくなり、受振点150〜終点区間ではオリジナル記録に比べて軽減されているものの、多重反射波が見られる。
・デコンボリューションフィルター処理後の波形記録
このフィルター処理により、多重反射波が軽減され、独立した反射波が抽出されている。起点〜受振点(杭番号に同じ)110までは、500msec程度まで独立した反射波が明瞭に見られる。受振点110〜150では有意な反射波がほとんどなくなり、受振点150〜終点区間(特に受振点200以降)では、回折波と思われる見かけ速度の遅い、振幅の大きな波群が顕著に現れている。
<波形記録例>
図4−6−2−1、図4−6−2−2、図4−6−2−3に起振点0,58,118,180,242,300(起振位置の杭番号)の静補正およびバンドパスフィルター処理、AGC処理まで行った結果の波形記録例を示す。静補正の最終データムは、標高10mとした。バンドパスフィルターの通過周波数帯域は30〜200Hzとした。またAGCのオペレータ長は600msecとした。起振点0,58の記録では、500msec程度まで反射波が明瞭に見られる。起振点118の記録では、オフセットの小さい受振点では反射波が見られるが、受振点176以降では多重反射波が現れている。起振点180,242,300の記録には、多重反射波が顕著に見られ、表面波も強く残っている。
図4−6−3−1、図4−6−3−2、図4−6−3−3にはデコンボリューションテスト波形記録例を示す。データのS/N比を考慮して、本測線の解析ではプレディクティブデコンボリューションを用いることにした。本テストにおいては、オペレータ長を40msec、60msec、80msecと変えて、それぞれの結果による波形記録を比較し、データのS/N比を調べた。ノイズは0.1%とした。この結果、オペレータ長60msec、予測長5msecが最適であると判断された。
図4−6−4−1、図4−6−4−2、図4−6−4−3にはデコンボリューションフィルター処理まで行った結果の波形記録例(起振点0,58,118,180,242,300)を示す。デコンボリューションには、パラメータテストで最適と判断したオペレータ長60msec、予測長5msecのプレディクティブデコンボリューションを用い、ノイズは0.1%とした。起振点0,58の記録には500msec程度まで有意な反射波が見られる。起振点180の記録には、受振点225以降で回折波と思われる見かけ速度の遅い、振幅の大きな波群が顕著に現れている。起振点242,300の記録には、有意な反射波がほとんど見られない。