3−4−14 三野町芝生
三野町芝生のの大規模な土砂採取地では、三野断層の断層露頭が確認されている(岡田・堤,1990)。断層の走向傾斜はN80°E,90°で、和泉層群破砕帯に三波川帯結晶片岩の破片が細長く取り込まれている。また、三野断層南側に土柱礫層に和泉層群が衝上する“芝生衝上”がとおるとされている(中川・中野,1964a)。徳島自動車道の工事により、土砂採取地の断層露頭は消滅しているが、切土法面に新たな断層露頭が出現している(写真29、写真30、写真31)。結晶片岩破片を取り込んだ和泉層群破砕帯と、さらにこれを切る断層がみられる。前者の断層の走向傾斜はN84°E,80°Nであり、後者はN48°E,84°NWである。断層の南側は崖錐性の角礫層や地すべり性の堆積物からなる(写真32、写真33)。既存ボーリング資料の収集で述べたように、河内谷川を横断するボーリング資料によると、和泉層群の下に礫層が分布しており断層が推定される。ボーリングの並びのやや南側を三野断層がとおると考えられる。三野断層は芝生の断層露頭と太刀野山の低断層崖をむすぶ線上を直線的にとおると推定される。
三野断層南側の切土法面には礫層や粘土層がが広範囲に分布している。切土法面では下位から結晶片岩円礫を含む礫層、砂層、青色〜青黒色粘土層、礫層、褐色角礫層からなる(写真34)。花粉分析によると粘土層にはメタセコイアが含まれており、土柱層に相当する堆積物と考えられる。