(4)活動様式

讃岐山脈南縁における中央構造線活断層系の活動様式は、@北から南への低角度衝上(中川・中野,1964a;中川,1965;槙本ほか,1968,1969;中野ほか,1973)、A垂直変位の地塊運動(須鎗,1972;須鎗・阿子島,1978;Suyari and Akojima,1980)、B右横ずれ断層(Kaneko,1966;岡田,1968,1970,1973a,1976,1978など)に見解が分かれていた。これは中央構造線に沿う断層として、高角度断層と低角度で北に傾斜する衝上断層があり、衝上断層の成因に関する解釈に相違があったためである。

岡田(1968,1970,1973a,1976,1978など)は直線的な断層の分布形、尾根、河谷、段丘崖の系統的な右ずれ屈曲などの断層変位地形や断層露頭の観察から、第四紀後半に活動的な断層は低角度断層の北側を走り、垂直成分よりも水平成分が大きい高角度右ずれ断層であるとした。低角度断層は断層変位地形を伴わず、すでに活動を停止した菖蒲谷時階の断層か、地すべりあるいは古期の高角度断層の低角度化と解釈している。