0 まえがき

今回、讃岐山脈南縁の中央構造線活断層系を対象として活断層調査を実施した。この業務は平成9年度から平成11年度の3ヶ年にわたって行われる計画である。その初年度にあたる今年度には、鳴門市から池田町西方の愛媛県との県境にかけての範囲(延長95km)で地形地質調査を実施した。また、吉野川下流の沖積低地に推定される平野部伏在断層を対象として反射法弾性波探査を実施した。

中央構造線は西南日本のほぼ中央部を縦走する大断層であり、その延長は千kmに達する。これまでの研究によると、第四紀に活動を繰り返していると考えられる中央構造線活断層系は紀伊半島西部から四国にかけての地域が活動的といわれており、徳島県下の讃岐山脈南縁は最も活動的な地域にあたる。

本年度の調査では、吉野川下流の鳴門市から土成町にかけての沖積低地や沖積扇状地で断層変位地形を多く確認した。これらの地形面に断層変位地形が認められることから、平野部伏在断層や鳴門断層はきわめて新しい時期に活動した可能性が高いことが明らかになった。また、地形地質調査や反射法弾性波探査の結果から平野部伏在断層の位置・性状を概略把握することができた。これらの調査結果から、今後トレンチ掘削調査を行い、最新活動時期や活動間隔を把握し、地震防災の基礎資料としたい。