@入山断層
} 入山断層系
A芝川断層
B安居山断層
C大宮断層 } 富士川断層系
D入山瀬断層
通商産業省工業技術院地質調査所が平成7年度「富士川断層系活動履歴調査工事」としてA芝川断層〜D入山瀬断層の4断層について調査を実施している。その調査結果と本調査の結果を合わせて、富士川河口断層帯の各断層について現在の知見を整理する。
表4−2−1 に富士川河口断層帯の性状一覧表を、巻末に入山断層系ストリップマップ図を示す。
表4−2−1 富士川河口断層帯性状一覧表
富士川河口断層帯の活動の特徴は、以下のとおりである。
@富士川河口断層帯は、南北方向の走向で西側傾斜の逆断層群である。ただし、大宮断層は、走向が北西−南東方向の正断層[Yamazaki(1992)、地質調査所(1996)]である。左横ずれ変位については確認されていない。
A平均変位速度は、東側に位置する断層の方がより大きく、活動的である。
B最新活動時期は、入山断層・・・・・・・・・・・・・・・・・・・約10,000年前以前
芝川断層・・・・・・・・・・・・・・・・・・・約2,900〜4,500年前(約3,000年前?)
安居山断層・・・・・・・・・・・・・・・・・不明(約3,000年前?)
大宮断層・・・・・・・・・・・・・・・・・・・約 3,000年前
入山瀬断層・・・・・・・・・・・・・・・・・AD.1,854年
と推定され、平均変位速度と同様に東側ほど新しい時期に活動しているまたは活動している可能性があると考えられる。
C再来間隔は、
入山断層・・・・・・・・・・・・・・・・・・・不明(約10,000年以上)
芝川断層・・・・・・・・・・・・・・・・・・・約3,000〜4,000年前
安居山断層・・・・・・・・・・・・・・・・・不明
大宮断層・・・・・・・・・・・・・・・・・・・約 7,000年以下(約3,000年?)
入山瀬断層・・・・・・・・・・・・・・・・・不明
D単位変位量は、おおよその再来間隔から求めたものであるが、活動性の高い断層ほど大きな値が推定される。
以上のことから入山断層系は、富士川断層系と比較すると、以下のとおりである。
@入山断層系は富士川断層系に比べて、その平均変位速度および、単位変位量とも小さい。特に入山断層の平均変位速度は非常に小さい。
A入山断層系では芝川断層に比べ入山断層の方が活動性が小さい。
B芝川断層は、大宮断層および安居山断層とほぼ同じ最新活動時期ならびに、再来間隔をもつ。
表4−2−1に示すように、今回の調査では入山断層系の活動履歴は概ね把握できた。しかし、芝川断層北部については未調査であり、さらに詳細な調査をすすめ、活動履歴の精度を上げる必要がある。
また、富士川河口断層帯全体の評価を行うためには、富士川断層系の各断層の活動履歴には不明な点が多く、これらの把握が今後の課題となる。