(1)断層の性状
中山断層は、入山断層系の中でこの断層のみが東側隆起の変位センスをもつ。
確認された断層露頭は3箇所しかないが、破砕帯幅は5〜15cmであり、変位量も50m程度と考えられ、入山断層や芝川断層と比べると規模は小さい。
(2)新期の堆積物と断層の関係
中山断層は標高400〜600mの庵原山地中央部付近にあるため、新しい時代の堆積物としては古期崖錐堆積物しか認められない。
中山断層を横断する谷地形は、富士川町南松野(中山地区)しか認められず、分布する古期崖錐堆積物には、変位を与えていないと推定される。
この古期崖錐堆積物の堆積面は、現河床から約100m以上の比高差があり、少なくとも、中位段丘堆積時よりは古い時代に形成されたものと推定される。
(3)断層の長さ
中山断層は、鷺ノ田礫層と岩淵安山岩類の境界をなす断層であり、それが確認できる区間は約4kmである。
(4)活動履歴
中山断層は古期崖錐堆積物に変位を与えておらず、新しい時代の活動は認められないと推定される。
今回の調査では「将来にわたって繰り返し活動するもの、また可能性のあるもの」について活断層とするが、調査の結果、中山断層が将来にわたり地震を伴うような活動をする可能性はほとんど認められず、この定義によれば中山断層は活断層である可能性は非常に低いと考えられる。
表3−3−3 中山断層の地形・地質データ一覧表