(1)地形・地質調査結果
図3−2−20に調査地付近の地表踏査結果図を示す。
調査地付近では、入山断層により浜石岳層群と、蒲原礫層が接している。断層は廻り沢川の東側を通過するが、廻り沢川沿いには、段丘地形はほとんど認められず、支流との合流付近に崖錐堆積物からなる小規模な緩斜面が残存するのみである。
地表踏査の結果、調査地付近の沢で断層露頭が確認された(断層露頭番号F−6)。その北側に小規模な崖錐堆積物が分布するため、崖錐堆積物の基底面の比高差を把握することを目的としてボ−リング調査を計画した。
(2)ボーリング調査結果
ボーリング調査は、断層延長方向の両側でSZ−1(断層東側、L=10m)とSZ−2(断層西側、L=10m)の2孔で実施した。なお、結果は、ボーリング柱状図およびボーリングコア写真にまとめ、別冊資料集に添付した。
図3−2−21−1、図3−2−21−2にボーリング調査結果概要図を、図3−2−21−3に調査地の地質断面図を示す。
調査地に分布する地質は、浜石岳層群、蒲原礫層、崖錐堆積物およびローム層である。ローム層中に赤褐色スコリアが挟在される。
SZ−2孔の深度6.2m付近で断層が確認された(断層面の傾斜50゚W)。
断層両側の基盤岩の標高は、西側の浜石岳層群の方が東側の蒲原礫層よりも約2m低く、入山断層の変位方向とは一致しない。
(3)まとめ
入山断層は、ここでは崖錐堆積物に変位を与えていないことが確認された。また、崖錐堆積物の上位には層厚約1mのロ−ム層が分布し、そのローム層中には大沢スコリアの可能性のあるスコリアが存在することから、少なくとも3,000年前以降、入山断層は活動していないと考えられる。
図3−2−20 泉水地区付近の地表踏査結果図(縮尺1/2,500)
図3−2−21−1 泉水地区ボーリング柱状図(SZ−1)
図3−2−21−2 泉水地区ボーリング柱状図(SZ−2)
図3−2−21−3 泉水地区推定地質断面図(縮尺1/500)