(1)地形・地質調査結果
図3−2−16に調査地付近の地表踏査結果図を示す。
安居山断層南方延長部に認められるリニアメントは、明瞭な直線状の谷と山地高度の差からなる。
調査地付近の地質は、調査地より北部が岩淵安山岩類、南部が鷺ノ田礫層からなり、調査地付近は両者の境界付近にあたる。
調査地南方の支沢付近に認められる段丘面に約10mの比高差が認められることから、リニアメントは有無瀬川西岸の崖付近と判読した。
調査地は、そのリニアメントを横切る比高約5mの沖積段丘面であり、基盤岩の構造及び上面の高度を把握することを目的として、比抵抗映像法探査75mとボ−リング調査5孔(10m間隔)を計画した。
図3−2−17に調査地付近の平面図を示す。
調査地は、有無瀬川と支流の西野沢の合流する箇所であり、リニアメントを横断して西野沢の沖積段丘堆積物が分布すると推定される。現在は、全て盛土されており、地形は改変されている。
(2)比抵抗映像法探査および電気検層結果
図3−2−18に電気検層による補正後の比抵抗映像法探査結果図を示す。なお、測線位置は図3−2−17に示す。
比抵抗断面は、砂礫と考えられる高比抵抗部がほぼ水平に分布している。その下部に認められる基盤岩の比抵抗値は全体に低いが、測点28〜30m付近でややパタ−ンが変化している。
この位置は空中写真判読で推定したリニアメントの位置とほぼ一致するため、ここを断層位置と推定した。
図3−2−16 西野地区付近の地表踏査結果図(縮尺1/2,500)
図3−2−17 西野地区付近の平面図(縮尺1/500)
図3−2−18 西野地区比抵抗映像法結果図(縮尺1/500)
(3)ボーリング調査結果
ボーリング調査は、比抵抗映像法探査測線上でNS−1(測線25m、L=19m)、NS−2(測線45m、L=22m)、NS−3(測線35m、L=17m)、NS−4(測線15m、L=13m)およびNS−5(測線55m、L=13m)の5箇所で実施した。
図3−2−19−1〜5にボーリング調査結果概要図を示す。なお、結果はボーリング柱状図とボーリングコア写真にとりまとめ、別冊資料集に添付した。
調査地に分布する地質は、下位より岩淵安山岩類、鷺ノ田礫層、沖積段丘堆積物および埋土からなる。
岩淵安山岩類は暗赤灰色を呈する砂質凝灰岩と凝灰角礫岩からなり、弱い葉理が認められる。全体にボーリングコアには、割れ目はほとんど認められない。
鷺ノ田礫層は褐色の半固結状の砂礫からなり、径5〜15cm程度の安山岩礫を多く含む。
図3−2−19−6に調査地付近の地質断面図を示す。
図に示すように、岩淵安山岩類と鷺ノ田礫層の境界面に高度の差は認められない。
(4)まとめ
ボーリング調査結果から、調査地には断層はないと判断される。仮に断層があったとしても鷺ノ田礫層に変位を与えていない。
図3−2−19−1 西野地区ボーリング柱状図(NS−1)
図3−2−19−2 西野地区ボーリング柱状図(NS−2)
図3−2−19−3 西野地区ボーリング柱状図(NS−3)
図3−2−19−4 西野地区ボーリング柱状図(NS−4)
図3−2−19−5 西野地区ボーリング柱状図(NS−5)
図3−2−19−6 西野地区推定地質断面図(縮尺1/500)