その位置を図8に示す。
@入山(いりやま)断層
A芝川(しばかわ)断層
B中山(なかやま)断層
C善福寺(ぜんぷくじ)断層
D安居山(あごやま)断層南方延長部
上記5条の断層およびリニアメントを対象に、図8に示す@〜Jの箇所で詳細調査を実施した。
表2に詳細調査地点毎の調査数量およびその目的を示す。
表2 詳細調査地点毎の調査内容及び調査目的
図8 リニアメントと調査計画地点位置図
なお、調査結果を示す前に、本調査において用いられる活断層に関する主な用語について、以下に説明する。
なお、用語の説明は活断層研究会編(1991)「新編日本の活断層−分布図と資料−」と池田・島崎・山崎(1996)「活断層とは何か」を参考とした。
@活断層
「最近の地質時代(第四紀)まで繰り返し活動し、将来活動する可能性のある断層」である。
ただし、第四紀に活動した断層は、将来も活動する可能性があるという考えから、「第四紀に活動した断層」=「活断層」という考えもあるが、本調査では第四紀後期(約12万年)以降に繰り返し活動が認められるものを「活断層」とする。
A縦ずれ断層(正断層、逆断層)(図9参照)
断層の変位様式を表す言葉で、断層による変位(ずれ)が上下方向に大きい断層を「縦ずれ断層」という。縦ずれ断層には「正断層」と「逆断層」の2種類がある。
「正断層」は「断層面に対して上側の地層が下方向に変位する断層」であり、断層の走向と垂直方向に張力が生じた時に形成される断層である。
「逆断層」は「断層面に対して上側の地層が上方向に変位する断層」であり、断層の走向と垂直方向に圧縮力が生じた時に形成される断層である。
B横ずれ断層(右横ずれ断層、左横ずれ断層)(図9、図10参照)
断層の変位様式を表す言葉で、断層による変位(ずれ)が水平方向に大きい断層を「横ずれ断層」という。横ずれ断層には「右横ずれ断層」と「左横ずれ断層」の2種類がある。
「右横ずれ断層」は「断層の走向方向に対して垂直方向からみて、断層より向こう側の地層が右方向に変位する断層」であり、「左横ずれ断層」は、同様な地層が「左方向に変位する断層」である。
図9 断層の変位様式[池田他(1996)]
図10 横ずれ断層[池田他(1996)]
C平均変位速度(S)(図11参照)
「平均変位速度」は、活断層の運動の活発さを示す指標として用いられ、「断層の累積変位量(D)をその変位量を得た断層基準地形の形成年代(T)で割ったもの」である。
S=D/T
単位はm/103年またはmm/年で、一般に上下成分と水平成分に分けて示される。
図11 断層の変位様式の関係図[池田他(1996)から引用]
D活動度
「活動度」は「活断層の運動の活発さの程度」のことをいう。日本では、表3に示すように平均変位速度から活断層をA級〜C級の3ランクに区分し、例えば活動度がA級の活断層は「A級活断層」と呼称する。
表3 活動度の分類表[活断層研究会編(1991)から引用]
E再来間隔(R)(図11参照)
再来周期、地震発生間隔、平均活動間隔ともいう。
「再来間隔」とは、「活断層の活動する繰り返しの間隔」のことをいう。単位は年で、一般に数百年から数万年である。
活断層の運動は一般に間欠的であり、活動時から次の活動時までの休止期間がある。活断層の活動はある程度の周期性をもつことから、再来間隔を求めることより次の活動がおおよそいつ起こるかを予測することができる。
ただし、その値は一般に数百年〜数千年の誤差を伴う。
F最新活動時期
最終活動時期ともいう。
「最新活動時期」とは「活断層が最も現在に近い時期に活動した時期」をいう。単位は年。
ただし、一般に歴史時代以降に活動した活断層では、活動した年まで特定できるが、有史以前のものについては、活動時前後の地層の年代から求めるため、約何年前〜約何年前という値になる。
G単位変位量(d)(図11参照)
「単位変位量」とは、「活断層が活動した際の1回あたりの変位量」をいう。単位はm。活断層の再来間隔(R)は、単位変位量(d)を平均変位速度(S)で割ることにより求めることができる。
R=d/S
また、単位変位量(d)や活断層の長さ(L)からその活断層が活動した際に発生するの最大地震の規模を推定できる。
Logd=0.6M−4.0
logL=0.6M−2.9
ここに、d:単位変位量(m)
L:活断層の長さ(km)
M:最大地震のマグニチュード
以下に、各断層毎の調査結果を示す。