B−1孔からB−3孔のボーリングでは、B−3孔のみに基盤岩である中・古生層(美濃帯)の泥岩(破砕帯)が認められた。このことは、B−3孔とB−2孔間の東海層群基底高度に大きな差が生じていることを示すものであり、この位置に断層が存在し第四紀以降(東海層群堆積時もしくは堆積後)の断層活動がこの部分を主体として起こっていた可能性を示唆している。
B−1孔,B−2孔に見られる東海層群は、層理面の傾斜が緩やかでほぼ水平か最大でもB−2孔で35°,B−1孔で20°の傾斜を示す程度であり、これらの地点および接近した地域に東海層群を大きく変形させる断層運動があったことを示すには至らない。ただし、B−1孔では東海層群中の深度65.5mに傾斜60°の小断層が確認されている。
B−1孔の深度35.67m〜35.79mとB−2孔の45.42m〜45.54mには、淡桃色の細粒ガラス質火山灰が見られる。この火山灰の対比を大阪市立大学にて行った結果、両者は同一の火山灰と考えられることがわかったが、東海層群中のテフラとの対比までには至らなかった。また、年代測定に耐えうる資料でないことも明らかになった。
この火山灰の分布標高はB−1孔で約86m,B−2孔で約74mであり北側のB−2孔での標高が約12m低いことがわかる。この原因として、東海層群が緩く北側に傾斜している,断層により切られている,堆積した標高がもともと異なる,が考えられるがいずれであるかは不明である。しかし、本地域に分布する広域火山灰であることに変わりはないので、今後ボーリング調査で分布標高を数多く確認できれば、反射法で推定された伏在断層の活動性評価が可能になる。
また、B−1孔で実施したPS検層結果と反射法R−2測線の水平距離1400m地点付近の速度分布を比較した場合、以下に示したとおり良く一致する。
防災上の基礎資料としては、ボーリング孔を利用したPS検層が地層との対比により細かい区分が可能であるが、実際に地震動の予測(地震応答解析)に使用するパラメータ(S波速度・密度)や解析モデルのセルの大きさを考慮すると、同一地層でもボーリングポイントにより変化する物性値よりも反射法で断面的に取得したデータの方が、解析にはより適していると考えられる。
表2−4−5−1 B−1孔/反射法R−2 P波速度比較結果