(6)まとめ

図2−3−1−18に反射法の結果から推定された断層位置を示す。

R−1からR−3の浅層反射法測線において、重合速度とそのギャップから東海層群の基底(基盤である中・古生層(美濃帯)の上面)と考えられる反射面が推定でき、その食い違いと東海層群の堆積構造と考えられる反射面の食い違いや変形から、伏在断層が推定された。

測線北側の山際前面の断層は何れも北傾斜の逆断層を示し、東海層群の基底面と推定された反射面のくいちがい量は垂直変位量で90〜150m程度である。 また、断面図で見る限り連続性も良い。いずれの測線でもこの断層の南側で反射面の北傾斜が認められ、東海層群が断層による変形を受けたものと推定される。

反射法の結果からは、東海層群の堆積構造と推定される反射面にピンチアウト構造(下位の反射面ほど傾斜が大きく、上位の反射面ほど傾斜が小さい構造)が認められないことから、東海層群の堆積以降に断層が変位し、山地を形成している中・古生層(美濃帯)を隆起させたものと考えられる。

地形地質調査で推定された関ヶ原断層の水平成分の変位量と反射法で伏在が推定された断層の垂直変位量の比較が困難であるため、また、どちらも変位基準の形成年代が不明なため、どちらが主断層であるか判断ができない。

R−2測線の南端の推定断層は北落ちの正断層であり、垂直変位量が30mである。測線北側の山際前面の断層が逆断層でありセンスが異なることを考慮すると、活動の時期が異なると考えられ、その時期は、東海層群堆積以降〜北側逆断層形成以前と考えられる。このセンスの断層は、R−1測線の更に南側にも中・古生層(美濃帯)からなる山地が存在することから、測線南側の山地前面にも存在していると考えられる。

R−3測線南側の水平距離200〜300mの東海層群の反射面の形状は、他の反射断面では見られないであり、北側断層の活動によりこの区間の東海層群が南側断層の下位に沈み込んだことにより形成された可能性がある。

反射法で推定される伏在断層は、いずれも地形地質調査で低位段丘上に変位地形が認められないことから、低位段丘堆積以降に活動していないと考えられる。

測線北側の山際前面の断層の活動性を評価するためには、断層両側に分布する東海層群の層序比較を行う必要がある。ただし、B−1ボーリングのコア観察結果、及び反射法での東海層群の弾性波速度が速いことから、分析に耐えうる細粒分に乏しい地層と推定でき、評価が困難なことが予測できる。また、極浅層仕様の反射法探査及びボーリング調査を行ったとしても、反射法が有効な測線上には更新世後期の堆積物が存在していないことから、活断層としての活動性の評価は困難である。

地形地質調査で推定されたF−1・F−2・F−3断層は、反射法でも中・古生層(美濃帯)中の反射面の食い違いや変形で推定された。ただし、中・古生層(美濃帯)の中の反射面の実体は不明である。

極浅層反射RS−1では、3条の断層が推定された。

その内、南側の2条は、浅層反射R−1の結果で推定された1条の断層位置と良く一致し、断層の構造も一致した。したがって、浅層反射で推定された1条が分解能をあげた測定仕様を用いることにより、2条の断層として読みとれたと考えられる。

北側の断層については、極浅層反射結果を把握した上で解釈すれば、浅層反射でも識別可能であるが、地下への連続性は南側の断層が卓越しており、は認められなかったが、さらに、表層付近の反射面の連続性が良く、この反射面が東海層群の堆積構造を反映していると考えられ、堆積構造の形状から東海層群堆積以降の断層活動が推定される。

また、地形地質調査により玉地区で確認された南側隆起の断層は、極浅層反射測線上では確認できなかった。

図2−3−1−18 調査位置及び反射法解析結果図