2−1−4 既存ボーリング資料調査結果

収集したボーリング資料は、調査範囲内の各市町ごとに分類整理し番号を付した。収集したボーリング本数は196地区253本であり、掘削延長は7.7kmにおよぶ。各市町ごとの資料数の内訳を表2−1−4−1に示す。ボーリング地点は、付図:ボーリング位置図に示した。

表2−1−4−1 各市町管内ごとのボーリング資料数

また、収集したボーリング資料については、別冊としてファイルした。

収集したボーリング資料からは、次のことが整理される。

1)断層の調査を目的として掘削されたボーリングは無かった。

2)ほとんどの資料は、段丘面上において建物の基礎地盤の調査を目的として実施されたものであり、掘削深度20m以下と比較的浅いものが多く、参考となるような資料が少なかった。また、水源用として掘削されたものの中には、深堀りされているものもあるが、地質の記載については、詳しいものが少なかった。

3)資料の中、断層および断層による破砕帯等の記載はみられなかった。

4)岐阜国道工事事務所から収集した資料の内、笹尾山トンネル坑口付近の2孔では深度99m及び67.5mまで掘削され、高有機質土が記載されており、地質的な異常が確認されている。また、低地部の4孔の資料では東海層群が伏在することが推定できる。

関ヶ原断層および近接する地域の地質構造を解析するために利用したボーリング資料は図2−1−4−1に示した6地点のものである。この図には、杉山ほか(1994)に示されている関ヶ原断層を赤実線で示し、既存ボーリング及び地質分布から想定される断層を黒破線で示した。断層の傾斜は不明であるため、仮に垂直断層として示した。

関ヶ原断層が中・古生層(美濃帯)のなかを通ると考えられる地点(現笹尾山トンネル坑口)に位置するSG41孔及びSG42孔では、ボーリングの記載として、孔底(深度100m程度)まで高有機質土が連続すると記載されている(図2−1−4−2,A−A'断面,B−B'断面参照)。また、SG39孔では深度25mまで砂礫層が連続して記載されており、周辺の地質状況から東海層群と考えられ、東海層群がかなりの厚さを持って分布している。したがって、SG41孔及びSG42孔の南側の地層境界部に断層が推定される。コア等の確認はできないため、真偽は明らかではないがこの記載は中・古生層(美濃帯)泥岩の破砕されたものを記載した可能性ある。あるいは、仮に全層が有機質土であったとすれば、水面付近の平穏な環境に堆積した有機質土が地下深部まで堆積していることになり、ボーリングポイント付近での局所的な沈降帯を想定する必要がある。

関ヶ原断層の推定位置の南側に位置するSG35孔では深度35mまで砂礫層が連続して記載されている(図2−1−4−3,D−D'断面参照)。また、SG28孔でも孔底(深度10m程度)まで砂礫層が記載されている。これらの地層は、周辺の地質状況から東海層群であると判断され断層の南側では断層に接近した地域でも東海層群がかなりの厚さを持って堆積しており、地層境界部に断層が推定される。図2−1−4−3,C−C'断面でも同様である。

この既存ボーリング調査の結果から、関ヶ原断層は東海層群堆積時もしくは堆積後に北側の山地を隆起させる断層活動があった,もしくは、横ずれに伴う小規模なプルアパート盆地を形成していたことが推察される。

この他に、収集したボ−リング資料は地質図の作成等の参考資料として利用した。

図2−1−4−1 杉山ほか(1994)に示された関ヶ原断層

既存ボーリング及び地質分布から想定される断層

図2−1−4−2杉山ほか(1994)に示された関ヶ原断層

既存ボーリング及び地質分布から想定される断層

中・古生層(美濃帯)中・古生層(美濃帯)中・古生層(美濃帯)中・古生層(美濃帯)

図2−1−4−3杉山ほか(1994)に示された関ヶ原断層

既存ボーリング及び地質分布から想定される断層

中・古生層(美濃帯)中・古生層(美濃帯)中・古生層(美濃帯)中・古生層(美濃帯)